これまで複数回にわたって社会に進出する女性を成功へ導いた男性パートナーたちを紹介してきた。
・あの全世界800万部「ビジョナリー・カンパニー」の著者ジム・コリンズは「アゲメン」だった!
・ハーバードMBA「アゲメン」教授の最後の授業。「妻、パートナーの夢を尊重しなさい」
パートナーと競い合うのではなく、パートナーの成功を心から喜べるアゲメン男性。
今回はアゲメン男性のレジェンドともいえるデイブ・ゴールドバーグについて紹介しよう。
目次
華々しい経歴を持つシェリル・サンドバーグ
Facebook副社長シェリル・サンドバーグ
Facebookを語るうえで外せない女性がいる。シェリル・サンドバーグだ。
彼女は言わずと知れたFacebookの最高執行責任者。
彼女の経歴は実に華々しい。出身大学はハーバード大学。しかもトップの成績で卒業した生徒にだけ送られるジョン・H・ウィリアムズ賞を受賞している。彼女はハーバード大学に通っているときから組織の共同設立を経験するなど、とても活動的だった。
大学卒業後、2年間のブランクを経て、ハーバード大学の大学院であるハーバードビジネススクールに入るんだよね。そしてここでも素晴らしい実績を残して卒業。
学生生活を終えた彼女が初めに選んだ就職先はマッキンゼーだった。ここで経営コンサルタントを経験。続いてアメリカの財務長官の下で働き、2001年にGoogleに就職することになる。そして2007年、彼女の運命を変える出会いが生まれる。
このときに出会ったのが、Facebookの創始者 マーク・ザッカーバーグだった。
当時、彼女は別の組織の経営幹部になろうとしていたらしいけど、ザッカーバーグは彼女に可能性を感じ、Googleから引き抜いてCOOのポストを用意した。そして、5年前の2012年6月、同社の理事会のメンバーから正式に役員の取締役に就任。
Facebookには彼女よりも前に女性で役員に就いた者はいなかったため、女性初の役員になった。
さらに、2012年にはアメリカの人気ニュース雑誌「タイム」にて「世界で最も有力な100人」として選出され、アメリカおよび国外で注目されるような存在にまでのぼりつめた。
そんな彼女の総資産は、なんと10億円以上とも言われているから驚きだ。
ちなみに資産の多くを占めるのはFacebookやそのほかの企業の保有株だ。
ITの女王が選んだ人生のパートナーアゲメン男性「デイブ・ゴールドバーグ」
デイブ・ゴールドバーグ
出典:newspicks.com
IT業界の女王との異名を持つシェリル・サンドバーグが選んだパートナーがデイブ・ゴールドバーグだ。彼の名が出るとき、必ずといっていいほど、「シェリル・サンドバーグの夫」「Facebook COOの夫」という形容詞がつく。しかし、実は彼の経歴も十分すごい。
ゴールドバーグは20代にして、音楽コンテンツを配信するメディアを設立している。このメディアを2001年にYahooへ売却し、その後、ヤフーミュージックの副社長とゼネラルマネジャーを務めた。彼がヤフーミュージックにいた頃、サンドバーグはGoogleにいたから、夫婦でYahooとGoogleに出勤していたことになる。このことからも二人がどれだけスーパー夫婦なのかということがわかる。
そして彼は2009年にオンライン調査会社のサーベイモンキーに入社し、CEOになる。サーベイモンキーは彼がCEOに就任した途端、急成長を遂げ、日本でも約15万人、世界的にみると2,500万人というユーザーを抱えるまでに大きくなった。サーベイモンキーは1999年に設立された会社で、ゴールドバーグが入社したとき、すでに10年という節目を迎えていたんだ。
ある程度設立からの年数が立っているのに、彼がCEOになった途端、業績が伸びたというのだからこれはもう彼の手腕以外の何物でもないことがよくわかる。
Facebook COO(副社長)シェリル・サンドバーグの夫
出典:fortune.com
妻に劣らず、すごい経歴を持つデイブ・ゴールドバーグ。
しかし、彼が「Facebook COOの夫」と呼ばれるのはなぜだろう。答えは簡単。彼がアゲメン男性だからだ。
経営センスに長けているゴールドバーグだが、彼は家事や子育てへの参加も積極的だったという。ヤフーミュージックを辞めた理由も、家庭を優先するためというから驚きだ。
当時、ゴールドバーグはロサンゼルスのYahoo、サンドバーグはサンフランシスコのGoogleで働き、住まいはサンフランシスコにあった。この時点で、彼はサンフランシスコからロサンゼルスまで通い続けていたというのだからすごい。
そして、第一子の誕生をきっかけに、結局Yahooを辞めてサンフランシスコで職探しをする。
働きなれたロサンゼルスの人脈や仕事を手放して妻や子どもを優先できる男性ってあまりいない。
自分の個人としての成功よりもパートナーや、二人の関係がよくなることを第一に考えて行動したゴールドバーグはアゲメン男性と呼べる。
夫婦間の女性の支えを超えて、世の女性の社会的地位の向上へ
ぼくが考えるアゲメンの条件に、妻の成功を心から喜べること、夫婦間での競争をさけることがある。
ゴールドバーグクラスになると、妻の成功を喜んだり、夫婦間で争ったりしないという時点を通り過ぎて、妻をはじめとした女性の社会的地位の向上について深く考えている。彼は多くの男性が、妻の成功を喜ばしいことではなくプレッシャーと感じてしまうことも知っているし、仕事がデキる女性が社会では妬まれやすいことも知っている。だからこそ、まずは自分が妻や社会で活躍する女性を尊敬しようとしていた。
前述したYahooを辞めた件も、妻が仕事を辞めるという選択肢が真っ先に思い浮かぶ夫婦は多いのではないだろうか。
でもぼくは、ゴールドバーグは妻が辞める可能性を考えずに、自分が辞めるという道を選んだと思っている。やってあげるとかではなくフラットに自分が辞めたほうがいいと思ったからそうしたんだと思うんだよね。
彼の中で妻を尊重し、自分と優越をつけないというのはきっととても自然なことだったとぼくは思う。
互いの役割を尊敬しあってこその「あげまん・アゲメン」
この夫婦が多くの人から愛され、尊敬され続けているのは、二人の関係性に憧れる人が多いからだろう。確かにゴールドバーグはアゲメンと呼べる男性だけど、彼にやってもらったことをきちんとわかっていて、誰よりも彼を尊敬しているのはサンドバーグだ。
二人の姿を見ているとアゲメンだけでなく、アゲメンを引き寄せる女性にも条件がある。
そんな理想的な夫婦ともいえる二人だが、2015年5月ゴールドバーグは旅先で訪れたメキシコのジムで突然倒れ、47歳の若さで亡くなった。
ゴールドバーグの不慮の事故から約1年後、サンドバーグはカリフォルニア大学の卒業式で登壇し、最愛の夫の死について言及している。目をうるませながら夫の死から学んだことを話す彼女の姿から、ゴールドバーグがいかにアゲメン男性だったのかが分かる。
彼女がゴールドバーグについて語った一文に、その象徴ともいえるものがある。それを紹介しよう。
デーブは私にとって『岩』のような存在だった。私が動揺した時、彼は冷静でいてくれた。私が不安に襲われた時、彼は大丈夫だと言ってくれた。私が何をすべきか分からなくなった時、彼は答えに導いてくれた。彼は子供たちにあらゆる方法で尽くしてくれたのよ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150605/283953/?P=3
中村あきらが考えるアゲメン男性記事はこちら
もしかするとゴールドバーグの生き方は仕事をバリバリこなす男性からいわせれば、「女性の尻に敷かれて…」というものかもしれない。しかし、彼はその概念すら取っ払い、自分の仕事はもちろん、妻の仕事や家庭内のこともすべて成功させたのだ。まぎれもない成功者といえる。
そして、互いに高めあうこの夫婦を見ているとサンドバーグだったから、ゴールドバーグはアゲメンになれたのでは…と思えてならない。parcy’sがまとめたあげまん・アゲメンに関するほかの記事もチェックして、ぜひあなたにとっての理想のパートナーのヒントを見つけてほしい。