【中編】「途上国での起業の資金調達は個人の経営者から調達せよ!」はこちら
【後編】「アフリカで起業するなら、日本の和の精神で勝負せよ!」はこちら
中村あきら(以下、あきら) 今日はアフリカ・ギニア共和国で起業している藤原宏宣さんと対談です。
藤原宏宣(以下、藤原) よろしくお願いします。
貧困問題をビジネスに変える
藤原宏宣さんのギニアの会社「GOODEARTH」
あきら よろしくお願いします。藤原さんのホームページ見ると、「貧困問題をビジネスで変える」というキーワードが出ていますよね。1回、講演も聞かせてもらったんですけど、大変おもしろいビジネスをやってるなと感じました。今、ギニアでどんなビジネスをやってるんですか?
藤原 今、基本的にギニアで行っている事業は、製氷工場と、女性の専門学校の運営です。日本では、別の事業として講演活動をしていますが、ギニアではその2つを中心に活動しています。
あきら 製氷工場は、ギニア初の日系企業だったと聞いています。なぜ製氷工場と女性支援を始めたんですか?

藤原 まず、最初に始めた製氷工場から話しますと、その当時、僕たちの持っている軍資金が400万ぐらいだったんです。製氷工場は僕たちの最初の見立てでは、その時「円」が大変高かったので中国で安い機械を買えば、600万か700万あればできるだろうと考えました。自分たちの手持ちのお金プラス300万ぐらいの資金があれば、ひとつ何かスタート出来るなと思ったんです。なので、どちらかと言えば消去法で事業を始めました。大きな資金があれば、他にも出来る事はたくさんあったのですが、消去法で僕たちは製氷工場を選んだということです。
あきら 例えば、ギニアで起業するうえで、どんなビジネスをするか考えたとします。その選択肢は、昔日本で流行ったビジネスから出てきたりするもんなんですかね?
藤原 みんなにそう言われるのですが、少し違います。行くと、足りないものだらけなんです。日本人の感覚からすると、これも無い、あれも無い。事業とは、社会の不足を補い、それをサービスとして提供し、対価としてお金をもらうものですが、ギニアのような発展途上国は、それがたくさんあります。だから日本の昔を考えてとかではありませんでした。
藤原さんが行っているギニアの製氷工場
あきら そこはそこの国で、何か新しい形で需要が出来上がっているという感じですか?
藤原 そうです。例えばスマホは普及しているし、ネットも繋がっています。3Dプリンターも僕、向こうで始めて見ました。
あきら アフリカに行ってビジネスする時も、遅れているという認識で行くのではなくて、日本で自分たちの生活の文化とかで使えるものを、新しい国に持って行くようなイメージのほうがいいということですか?
藤原 僕は自然とそう思いました。日本にこれがあったらとても便利なのに、この国に無いから困るわ、ということがあります。
あきら 女性支援は、どういうきっかけで始めたんですか?
ギニアでの女性支援活動
藤原 元々、「社会性の強い仕事」をしたいというのがずっと念頭にありました。それで、実際に製氷工場をして思ったのが、この人たちをただの消費者にしてはいけないということでした。なので、製氷工場拡げるよりも、現地でもっとも必要だと感じる「教育」をサポートできる事業の枠組みを作りたいなと思ったのがきっかけです。
あきら いいですね。どうしてそこまで教育にフォーカスしたんですか?
藤原 僕自身があの国で1番困ったことは、人です。向こうも騙す気はないけれども、結果として騙してしまうんですね。そうというのも、向こうの人たちは、仕事が欲しいからグイグイ来るのでが、実際にしてもらうと、言っている事の10分の1しか出来ないのです。そのうちお金を持って消えてしまうことが何度もありました。自分たちで育てるコストのほうが、学校を運営するより高いんです。だから、ちゃんと育てる仕組みを作って、能力を身につけてもらって、派遣業ではないですが、仕事を割り振るところまでしてあげられたら、と思って始めました。
あきら 教育と人材マッチングが合体した形ですね。面白いですね。その2つの事業がギニアの事業ということですが、日本ではどのような活動をしてますか?

藤原 今僕がギニアでやっている事を通して、ギニアの現状を偏見なく正しく伝えるということをしています。現地では困ることも多いし、たくさん子供も死んでいますが、同情されたいとは思ってないんです。だから、同情を煽ったり、困っていることを強調するのではなく、どう関わったらいいかを重点に置いて話をしています。
あきら ギニアの人にとっては、その困っていることが「普通」だという感じですか?それに対して、ぼくたちが、「可哀想だ」みたいな雰囲気で行くと、あっちはそう思ってない、という意識の違いがあるということですよね。
藤原 あると思います。ただ彼女たちが日本のような暮らしを求めていることも事実ですが、物質面ではどうしても不足しているので、サポートはしたほうがいいと思います。それは可哀想だからやるということではなくて、もっと違う形の関わり方をしなくてはいけないと思っています。
ギニアやアフリカ・途上国のの現状を伝える藤原さん
あきら 伝えていると反応などはどうですか?資金調達という面もあるんですよね?
藤原 あります。僕が運営している学校は寄付金で成り立っています。個人的には、日本は寄付に対する偏見がまだ強いと思います。海外では、寄付が当たり前になっているところが多いです。決して、物やサービスを提供するだけが事業ではありません。お金を払うという行為は、立派な支援ですし、事業にもなります。
あきら 今後は、今の製氷事業とか女性支援のギニアの事業を伸ばしていきつつ、日本で現状を伝えて、そこで寄付や資金調達をしてどんどん伸ばして行くことを、これからも続けていきますか?
藤原 多分もうすぐ電気が整うので、製氷事業は伸ばさないです。
あきら 必要なくなる?
藤原 必要なくなるでしょう。それはどの国でも一緒です。だからメンバーが新しい方向に向いていないと、また失業するぞということは現地でも言っています。
あきら おもしろいですね。ぼくは途上国でのビジネスの立ち上げ経験はまったくないのでとても勉強になります。次回からは、実際にどういう風に資金調達をしていくことだったりを聞いていけたらと思っています。

中編につづく
次回は、「途上国での起業の資金調達は個人の経営者から調達せよ!」をお届けします。
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