【中編】ギニア共和国起業家・藤原宏宣×中村あきら対談「途上国での起業の資金調達は個人の経営者から調達せよ!」

ギニア起業家・藤原宏宣×中村あきら
アフリカ・ギニア共和国で起業家として活躍する「GOODEARTH」代表藤原宏宣さん。ギニアで実際に工場経営・女性の教育と人材マッチング事業立ち上げ、“貧困の克服”のために現地での雇用創出、人材育成を担うアフリカの自立と発展に貢献する事業の将来像を展望する。日本では「貧困問題をビジネスに変える」をビジョンに多数講演を行なっている。そんな藤原さんに、いかに途上国でビジネスを立ち上げるのか、資金を調達するのかを詳しく聞いていった。
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あきら さきほど資金調達の話などがあったと思いますが、今、日本に法人登記はされているのですか?

藤原 日本にも法人があります。日本にNPOと株式会社があります。ギニアへは、向こうは株式という概念があまりなくて、個人事業主にちょっと毛が生えた感じのがあるので、その登記も一応しました。

証券市場が発達してない国では、出資での資金調達が難しい!

ギニア起業家・藤原宏宣×中村あきら

あきら ギニア共和国での登記は共同経営者で、ギニア人と組む必要がありますか?

藤原 いらないと言われたのですが、その代わりあまり政府がしっかりしていないので、外国人が代表だといろいろな弊害が出ます。変な役人さんが来たりするとかいうことを最初に言われていたので、現地の人にパートナーになってもらいました。

あきら NPOとかで資金運用を調達していくということですか?日本の法人のほうにまずお金を入れて、向こうに送金するという感じなんですか?

藤原 元々、僕は日本で株式会社持っていたんですね。ほぼペーパーカンパニーみたいな感じで動いてなかったんです。それで、ギニアのほうで事業を始めたときに、製氷工場をするにあたって、どうしても300万ぐらい足りませんでしたから、現地に法人登記をして日本の株式会社でお金を集めました。それで学校の事業を始めるにあたって、NPOを作ったという感じです。

あきら 最初は出資だったのですか?株式会社で集めたお金は。

藤原 出資は1部集まったのですが、ただ、あまりにも出す側も怖いということで、結局、融資になりました。

あきら やはりそういうのは、日本は怖がる感じなのですか?

藤原 怖がるし、もう1個言うと、僕もやってから分かったんですが、出資のリターンというのは、基本的にPLとかバランスシートとかがしっかりしていないと、投資家に証明できません。ギニアは税務的にごまかしが多い国なので、領収書がありません。だから投資を募ろうにも、証明出来るものがないので、説得力がないんです。

あきら 出資者にしてみれば、バイアウト(会社売却)、またはIPO(上場)なのかというのもゴール、出口戦略もあまり見えないという感じになるのですね?

藤原 そうなるでしょう。そもそも基本的に証券市場というのが、しっかりと確立されている国だから成立する話です。そのような資金の動きという部分では、大変遅れている国です。

GOODEARTH藤原宏宣

あきら 面白いですね。出資とかは、しっかりと証券市場が成り立った国でないと難しいですね。

藤原 信用という意味では出来るかもしれませんが、それを証明するものがありません。税務署もしっかりしていなかったら、税金がいくら払ったかも分かりません。だから日本とか、証券、金融がしっかりと進んでる感覚でいくと、理解できない事が多い気はします。

あきら それで、融資は結構集まりやすかったのですか?

藤原 いや、最初は大変でした。

あきら 日本の銀行からの融資はどうでしたか。

藤原 絶対出さないです。銀行は、それまでの実績や信用が一番大事なので。もし出してくれるとしたら、例えば、僕が運用している会社がかなりな黒字で、ここに貸して保証人を付けておけば、資金だと本当はうるさいのですが、銀行は、返してくれるならいいとかで、その辺目をつぶります。海外で事業をすることが前提で資金を融通してくれるという話は、僕が始めた時は聞いたことはありませんでした。

GOODEARTH藤原宏宣

あきら 確かに。銀行の担当者さんも海外での事業となると、上手くいっているかどうかも判断することが難しいし、銀行の上層部にも報告が出来ないですね。

藤原 そうです。

あきら それでどのような所からの融資になるのですか?

藤原 結局、個人投資家と言われる人たちになると思うのですが、本当に上手くいっている経営者さん、中小企業のオーナーさんでも、事業が上手くいっている人は会社の内部にお金を結構残している方がいます。個人的に持っている方もいます。そのような方に、一人ひとり話をしていくことを繰り返しました。

あきら 自分という経営者を信用してくれみたいな。

藤原 もう、そこしかないです。でも初めて会ったのに信用するも何も、「今日初対面だ」みたいなこともありました。

あきら 初対面の人に出してもらえたということですか?

藤原 初対面の人も出してくれたし、2回目3回目会った人も出してくれました。結局、融資で集めたお金が3500万円です。

あきら すごい。それでも途上国とかで行く人たちは、やはり資金とかどうすればいいんだと悩むところもあります。そこで藤原さん、いろいろ出資や融資も試されて、そのような経営者からの融資が現実的なのではないかと落ち着いたと思いますが、それは複数の人から借りたのですか?

藤原 そうです。今はほとんどまとまりましたが、1番多い時では8人ぐらいから借りて、3500万になっていました。細かい金額もあります。

ギニア起業家・藤原宏宣×中村あきら

あきら 日本での講演などで集めている資金は、また別なんですよね。

藤原 それは、どちらかと言うと学校の運営費です。

あきら 寄付してもらったお金は事業運転資金というよりも、寄付での設立資金、学校設立資金に充てているということですか?

藤原 どちらかと言うと、学校の運営資金です。設立資金は、最初にまとまったお金が必要だったので、それはそれで別に集めました。僕は仕事の収益でやりましたが、学校は建てることよりも、運営するほうが問題も起きるので大変なんです。定期的に、なお且つ関係性を維持してもらいながら、株式会社でお金を集めると、それは売上になってしまいます。例えば、僕らが利益を出したとしたら、その分、法人税が引かれて、向こうに持って行かないといけなません。NPOはそれをそのまま持って行けるんです。一切そこは触れられないです。だから僕たちはNPOという選択を取りました。

手持ちの資金で形にできるビジネスを探せ!

あきら これから途上国とかで、資金調達をして事業をする時に、やはり経営者からの融資で、NPOで講演とかで資金活動をしていくのが1番いい選択だと思いますか?

藤原 まず、どんな事業を行うかによって全く変わってくると思ういます。僕は、製氷工場が最初のスタートとして妥当だったかどうかは、今、大変疑問に感じてます。結果的に上手く返済できているので、それはそれでいいのですが、もっと小さいスケールで出来ることがあったと思います。手持ちの中のお金だけで始められるのが理想だとは思います。

あきら 初めから、一気に資金を集めて事業を起こすのではなく、ということですね。

藤原 なんでもいいのです、それは。嘘を付いたら駄目なので、何でもいいので、ひとつやってしまうのです。やったことを持ち帰って、それを具現化するためにお金がいるという話にします。経営者は特に厳しいと思います。けれども、やはりお金は出しにくいです。

ギニア起業家・藤原宏宣×中村あきら

あきら 形が無いもの、アイデアだけのものに対して、資金は出しにくいということですね。

藤原 出しにくいし、それがもし期間投資家で金利だけを求める人なら、日本国内にも、たくさん仕事はあります。逆に金利だけを求められたら、おそらく40%とか30%とか、とんでもないリターンを求められます。だから、やはり小さく自分がやって、やってることに共感してくれる人から、低金利でお金を借りるというのが、僕はベストだと思います。

あきら なるほど、勉強になりますね~。

後編へつづく

次回は、「アフリカで起業するなら、日本の和の精神で勝負せよ!」をお届けします。

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