【後編】ギニア共和国起業家・藤原宏宣×中村あきら対談「アフリカで起業するなら、日本の和の精神で勝負せよ!」

ギニア起業家・藤原宏宣×中村あきら
アフリカ・ギニア共和国で起業家として活躍する「GOODEARTH」代表藤原宏宣さん。ギニアで実際に工場経営・女性の教育と人材マッチング事業立ち上げ、“貧困の克服”のために現地での雇用創出、人材育成を担うアフリカの自立と発展に貢献する事業の将来像を展望する。日本では「貧困問題をビジネスに変える」をビジョンに多数講演を行なっている。そんな藤原さんに、アフリカや途上国で起業するうえで大事なことは何か?ということを聞いていった。
【前編】「アフリカは昔の日本ではなく、新しい現代の国だと思え!」はこちら
【中編】「途上国での起業の資金調達は個人の経営者から調達せよ!」はこちら

あきら 藤原さんギニアでやっていて、資金調達の苦労もあって、今後、社会性というビジネスを、アフリカやそういった所でビジネスをしていきたいという人が出た時に、どのようなプロセスをしていけばいいのでしょうか?

途上国は遅れた国という認識をまず捨てよ!

GOODEARTH藤原宏宣×中村あきら

藤原 プロセスとなると、それぞれのやり方や考え方があるので、僕が断言できることはありません。ただ、よく日本の話である風評的なことで、例えば日本のTシャツや鉛筆などを向こうに持って行って、貧困支援などがあります。ギニアのような国は、中国で売れなかった物が、山ほど流れて来ているので、物自体はお金があれば、なんとか買えます。かなり遅れた国という認識を1回捨てる事かなと思います。

あきら まずそこを捨てる事が大事だ、と。

藤原 大事だと思います。かなり勝手なイメージで、キリンとか像がたくさんいるイメージをまだ持っている人がいるのです。それをもってして、何か事業をしようとすると絶対失敗します。

あきら まずその認識を変える事が大事ですね。では、実際に、どのようなビジネスなどが光ってくるのですか?

藤原 それは、時代に応じた経済や社会の問題に対応したものだと思います。今だと、例えば、「環境破壊などの問題にも直結するような資本経済のあり方がどうなんですか」とか、「リーマンショックのような金融経済の限界にどう対応するか」とか。僕は、その中で特に、今のBOP(ベイス・オブ・ザ・ピラミッド)ビジネスと言われている、先に話した貧困者を消費者にしてしまうようなビジネスモデルは続かないと思っているので、新しいビジネスモデルを創れないか考えています。

中村あきら×藤原宏宣

あきら 例えばどのような事業になってきますか?

藤原 極端な話、今までの「支援」の概念を潰してしまう。例えば、勝手にいい事をしているという環境とか、生活と支援が自然に共存するような仕組みをつくる。そういうことをするのも事業の役割だと思うのです。

あきら やっぱり金儲けよりも支援という目的でないと、ギニアのような発展途上国では中々上手く行きませんか?極論した時に、お金儲けで行くと、今はまだそれほどではないということですか?

藤原 かなりグレーなところを突く話になると思います。例えば、鉱山などで、金、ボーキサイトなどに触れることができるなら、とんでもない収益です。セメントも。土木が今、建築ラッシュで、実際足りていないのです。足りていないのですが、それはある意味、仕事と違う話かも知れませんが、その地域の発掘現場や地下資源を採ってる場所、または採掘場など、大変なことになっているのです。搾取が横行してます。ただソーシャルメディアの普及も手伝って、段々こういうことも問題に上がってくると思います。であればこそ、企業は今後、利権や金儲け以外のものに注力する必要があると思います。

ギニア起業家・藤原宏宣×中村あきら

あきら それを踏まえた時に、どういうスタンスで事業をすればいいのでしょうか?

藤原 それはその人の価値観次第なので、なんとも言えません。ただ、例えば今から起業する人たちの話をすると、実はお金持ちになることは目的ではない人が多いと思います。もちろん食べていくために、余裕のあるお金が欲しいと言うのですが、そういうことより、自分がやっている事業が社会にどのような影響を与えたかということにモチベーション、重きを置いている人は多いと思うのです。例えば、社会事業家と言われるような人たちでも、利益が出ないと継続できないので、そこをないがしろにしてしまうと意味がないのです。だから、両方バランスよく維持するスタンスは、今後の絶対必要だと思います。

あきら 藤原さんの話を聞いていて、今のアフリカのビジネスとは、お金持ちになるのかでいくとあまりおすすめしないけれども、社会性や影響力、そういうビジネスをしたいという人には、日本人としては、かなり魅力的なのではないかと感じます。

藤原 僕も思います。お金目的だけで行って、実際に、お金持ちになっている人もいます。ただそれは、全員が全員ではありませんが、かなり厳しいことをやって儲けています。その土地の住民を追い出したりとか、それぐらいのことはやっています。やりたいなら行ってください。

あきら あまり日本人は合わなそうな感じですね。

藤原 僕は、気質的に出来ないと思います。中国の建設現場とかは見たことありますか?

あきら ニュースとかで。

中国の明け渡し拒否中国の土地を明け渡し拒否した人が周りだけ工事をすすめられた写真

藤原 建ててるビルの周りで、本当に掘っ建て小屋を建てて、地方から連れて来て住まわせています。あれ、日本で日本人がまず出来ますか?

あきら 論理感的にも精神的にも出来ないと思います。そういう所は国民性の向き、不向きがありますね。

藤原 そう思います。逆に、日本が誇っているところは和の精神です。現地の人たちの生き方を重んじることは世界に誇れることですから、それありきの仕事のスタイルを日本なりに作っていけばいいのでないかと思っています。

貧困国でビジネスをしたかったら、まずは自分が応援される力をつけよ!

あきら 確かに。話は変わりますが藤原さんを見ていて思ったのは、そういう社会性などをビジネスとした時に応援される力が必要だと大変感じました。プレゼンを見ていても、「貧困層がこうなっているので、お金を出してください」と言って回っています。そのような能力がある人ではないと難しいのではないかな、とも感じました。それについてはどう思いますか?

藤原 人と話すことは苦手では無かったのは事実です。レベルとかはありませんが、コミュニケーション能力が少し高いほうだったのかもしれません。しかし、だからと言って、僕はそれがずば抜けているとも思っていません。最初、お金を集めるのに苦労しましたが、ある一時期から、急にお金が集まるようになってきたのです。それは、自分は何がしたいということを明確に言葉として出せるようになった時だと思います。それはお金もうけでは駄目なんです。人は応援してくれません。僕の言っている事が実現したら面白いなと思ってもらえるように、それを明確に伝えられるようすれば、自然と応援してもらえるようになると思います。

ギニア起業家・藤原宏宣×中村あきら

あきら 確かに面白いですね。藤原さんを見ていて思うのが、よく学生たちで、貧困国でビジネスをしたいと言う人がいます。僕は、藤原さんの成功事例を見て思った時に、その人がまず応援される人になることが大事なのではないかというのはかなり思いました。格好をつけるだけで貧困を救いたいと言う人が多いのですが、まず、その人が目の前の人たちに応援される人になることが、その事業の成功になっていくし、それが1番最初の挑戦として大事なのではないかととても感じました。

藤原 おそらくどの事業も一緒かもしれないです。何か起業するという時には、絶対に「人」という要素がでてきます。

あきら そうですね。

藤原 だから、特に若い人たちなどは人から可愛がられるということでもいいのですが、応援してもらえるというのが大事なのではないかと思います。

あきら 了解です。今日はありがとうございました。

藤原 ありがとうございました。

ギニア起業家・藤原宏宣×中村あきら

中村あきら×藤原宏宣対談 終わり
(構成 湯ノ口直樹

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【中編】「途上国での起業の資金調達は個人の経営者から調達せよ!」はこちら

貧困国でビジネスをするならば、応援される力をもつこと注力しよう!

藤原さんの対談を聞いて思ったのは、貧困国でビジネスをする、社会性のビジネスをするときに大事な能力は、
ずばり応援される力だ。

その力が土台にあり、資金があつまり、人が集まり、ビジネスが形作られていく。

ぜひこれからアフリカや貧困国でビジネスをやりたい、社会性の高いビジネスをやりたい人は、応援される力を鍛えよう。

その力が、将来何万人もの人を貧困から救う力になるかもしれないって、
とても素晴らしいことなんじゃないかなって思うんだよね。

藤原さん、ありがとうございました!



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