【中編】ボイスアーティスト相川陽介×中村あきら対談「イタリアという環境がアーティストとしての感性を高めてくれる!」

ボイスアーティスト相川陽介×中村あきら
イタリア在住ボイスアーティスト相川陽介。「声」を通して、朗読、ナレーション、司会、落語、オペラ、ポップス、日本歌曲、声明など、様々なジャンルの公演を世界中で行う。日本ではボイストレーナーとして、ビジネスマン、歌手、役者、モデル、主婦、経営者など4000人以上をレッスンする。そんな相川陽介さんにイタリアを本拠地に置くことで何を得られるのかを聞いた。
【前編】「人に伝える力は、「人生の一貫性」と「芝居」によってもたらされる!」はこちら
【後編】「「金髪」「和服」「刀」そしてイタリア語での「深い話」が圧倒的な違いを生む!」はこちら

あきら あいちゃんは、日本でも10年間、ボイスアーティストとして活動して、2年2カ月前に、イタリアに飛び立ちました。イタリアで勝負すると決めて、ヨーロッパで活動することを決めて行ったと思うんだけど、実際、なぜヨーロッパに行こうと思ったの?

相川 世界各地に拠点を作るためで、これは子供のころからの夢です。

あきら 若い起業家などでも、世界中にオフィスがあったり、世界中に拠点を持つことに憧れる人が結構多いです。どうして、イタリアのしかもヴィーコエクエンセという街を拠点にしたのかな。

イタリア相川陽介ヴィーコエクエンセイタリアのヴィーコエクエンセの場所

相川 あの環境ですね。ナポリ近郊の街なので、ナポリ空港から、パリでもロンドンでもニューヨークでも直行便で行けます。そして、何より海が綺麗なんです。

あきら ナポリ空港と海がきれいだったというのが、結構大事?

相川 重要な理由です。まあ、勘ですね。

あきら アーティストとして住む環境や最初に行く拠点というのは、どういうものをもたらしてくれる所がいいんだろう。

相川 アーティストとしての視点と経営者としての視点は、考え方がそもそも違うと思っています。その点で言うと、アーティストとしての選択だから、僕はあそこを選びましたが、経営者なら儲かる所に行くのがいいでしょう。
基本的に儲かる所に住むなら、シンガポールやニューヨーク、また、シドニーも盛り上がってるようですし、あとは東京ですね。

あきら あいちゃんは、日本では経営者としても自分の事業を運営してたから「経営者の視点」と「アーティストの視点」を持っていると思っています。それでアーティストというアイデンティティで、場所を選んだというのは面白いね。アーティストとしてということは、発声の練習なども含めてそこを選んだということ?

相川 アーティストなので創作活動をすることが非常に重要で、そのために活動をしています。そしてそのために僕はあそこにいます。

あきら 以前、あの海を見ながら発声練習をしている写真がフェイスブックに上がっていて、いいなと思いました、アーティストとして、そういう環境というのは、自分に何をもたらしてくれたんだろう。

相川 静寂とインスピレーションです。

イタリア相川陽介ヴィーコエクエンセVico Equenseから見える海ヴィーコエクエンセの海

あきら 例えば、インスピレーションは、特にイタリアは入ってくるものが違うのかな?例えば、静寂とインスピレーションと言った時、地方でも静寂とインスピレーションは来ると思うんだけど。

相川 日本の地方ですか?

あきら そうそう、日本の地方とか。

相川 アーティストの職域によるだろうと思います。広い意味での古典芸能なら京都か東京、あるいは金沢でしょうか。

あきら イタリアと、日本の地方とでは何がそんなに違うのだろうと考える人もいると思うんです。

相川 イタリアのナポリでは、歌うことが空気と同じように自然なものとして存在しています。その辺で歌って、その辺で演奏してというのは普通だからです。僕もアーティストと言っても、歌手で歌うことが仕事なので、そういう場しか得られないものがあります。

ボイスアーティスト相川陽介イタリア

あきら へー普通の人達も歌っているんですか?

相川 そうです。歌というのは、日本人が箸を使うようなもので、イタリア人にとって、歌はとても自然なものなのです。

あきら 日本だと歌うことは変なことでも、イタリアほど日常的ではないということだね。

相川 もし今この場で歌ったら怒られます。向こうだと普通だから怒られませんね。

あきら なるほど、そういう歌が生活と共にある文化の中に身をおくことで、さらに自分のインスピレーションや能力などがもっと開花されていくということか。

相川 そうですね、相当開花されました。

あきら 面白いね。アーティストとして自分のインスピレーションをもっとあげるためには、自分のアーティスティックな表現をどんな場所でも表現出来たり、それを推奨される文化が周りにあるとさらに自分のアーティスト性が開花されていくということなんだね。イタリア行く前にイタリア語は学んでいったのですか?

相川 1年勉強しました。

中村あきら

イタリア語を学ぶと声が良くなる!?

あきら 言語は、その国の文化に直で反映しているものがあると思います。ぼくはその国の文化を知りたいなら、その国の言語を知ることが一番早いと思ってます。イタリアの言語を学んだことで、どのような理解があったんだろう?

相川 個人的にイタリア語を喋って、本やニュースも読みますが、どこかの時点からイタリア語は、現実とかけ離れたなと僕は思っています。イタリア語はとても芸術的な言語なのです。今のイタリア語は、近代1800年ぐらいまでには、かなり出来上がってきていて、それ以降、世界の覇権が大英帝国からアメリカと移ったことによって、言語が論理化せずに、芸術的な側面が強くなっていったのではないかと思っています。今、世界で1番洗練された言語は英語です。けれども、すごくダイレクト言語ですよね。AがB、CがDとか、論理的に説明するなら、英語のほうが伝えやすい。イタリア語の表現は、言語的にとてもマイルドでやわらかいです。

あきら へー日本語に近い感じ?

相川 僕が日本語のネイティブだというのもあるので思いますが、日本語はとても柔軟です。イタリア語はそれほど柔軟ではありません。イタリアは、グローバリゼーションの流れに、東京の人たちほど乗っているようには見えないです。
それが芸術の国としては、いいところなのです。でも、日本は言語的に見るとグローバリゼーションに付いて行けています。どんな概念が海外から入ってきてもたちまちカタカナにして日本語にしてしまいます。すさまじい強さだと思いますし、だから日本はすごい。皆、フレキシビリティが半端ではありません。イタリアは全然付いて行こうとすらしない。それをしないことで、イタリアブランドを守っています。

ボイスアーティスト相川陽介イタリア

あきら 例えば、イタリア語を学ぶことで、どのような能力が身に付くのかというのは大変気になるところですね。

相川 距離感が近くなります。距離感が近くなると声が良くなります。

あきら イタリア語を学ぶと声が良くなる?

相川 イタリアの発音を正確にすると、声が良くなります。発声法にとても適した言語なのです。

あきら イタリア語は歌うように喋るというようなことを、よく耳にします。

相川 イタリア人もそうだし、イタリア語もそうなのですが、大きい声を出さないと伝わりません。発音もマイルドなのでそう聴こえるだと思います。

あきら へえ、面白い。アーティストとして自分の感性を高める必要があり、イタリア語はそれを引き上げくれるもの。そして、イタリアは、歌手活動をする上でとても適した場所ということだね。

相川 普通に、歌を聴いて純粋に楽しめる人達がたくさんいるからです。

あきら そうなんだね。これからは、自分のアーティスト性を高めるために言語や場所を選ぶという考え方はとても新しいし、理にかなったやり方だと感じます。以前対談した相手で英語を学ぶと決断力が上がると言う方がいました。

それと同じように自分の伸ばしたい能力で、場所や言語を選ぶと言うのはこれからの自己啓発だと感じるよね。

ボイスアーティスト相川陽介×中村あきら

後編へつづく

次回は、「「金髪」「和服」「刀」そしてイタリア語での「深い話」が圧倒的な違いを生む!」をお届けします。

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