Layoff(レイオフ)とは不況のために従業員を雇っていることが経営的に困難な状況において、雇用している従業員を一時解雇したり, 帰休させることをいう。
レイオフによる雇用調整
不況による材料の納入の遅れや業績悪化によって工場の操業短縮などが行われる際に、余剰となる人員を一時的に解雇することで人件費の抑制を行ない経営収益の悪化につながる余剰人件費に歯止めをかけるための仕組みである。
アメリカにおいてのレイオフは もともとは先任権に基づいたレイオフ制度となっており、勤続年数の少ないものから順番に人員削減が行われてきた。そのため、新しく雇われたものから順番にレイオフの対象となってきたのである。
もともと、レイオフによって一時解雇された人員は、業績が回復した時に優先して再雇用が約束されることになっているが、業種により特にリーマンショック以降は再雇用の想定がなされないレイオフも増えてきている。
現在では自動車産業をはじめとする伝統的な産業にほぼ限られ、金融やハイテク産業などの産業では業績悪化の際などの集団解雇という意味でしかなくなった。IT産業についても例外でなく、業績の悪化がそのままレイオフに結びつき、ある日突然会社を辞めなくてはならないといったことも当たり前に起こっている。
日本における雇用調整
日本では退職勧奨を行い、人員整理を行うことをリストラと呼んでいるが、従業員を解雇する行為は正確にはレイオフと呼ぶべきものである。
もともとは日本でも一時帰休という制度があったが、リストラと違って、長年工場などで働いてきた熟練工が培ってきた技術や経験、ノウハウといったような人の能力にかかわるものが外部やライバル会社に流出していかないために手を打ってきたものだ。
シリコンバレーにおけるレイオフの実態
2002年から2006年にかけて、ヒューレットパッカードでは世界で4万5千人をレイオフしたが社員総数はほとんど変動せず。レイオフと同時に大量雇用も進めていた。
2008年ごろは特に各社でのレイオフが行われ、グーグルでは32億ドルで買収したオンライン広告のDoubeClickの海外オフィスを中心に1200人の内から300人をレイオフした。
グーグル社ではそれ以外でも部門が消滅することによってもレイオフが頻繁に実施されているが、別な部門では求人を行っているため、レイオフされた者は通常の求人と同様にして別な部門を受けるといったことが行われている。
アドビによるマクロメディア買収し統合した時には、重複した部門の人たちが大幅にレイオフされたが、全世界で630人、サンノゼの本社では240人の求人を行ったという実態がある。
また、次々と立ち上がるテック企業を中心としたシリコンバレーの企業の内、撤退や閉鎖、買収などによるレイオフも多く行われており、 App.net は事業を閉鎖、音楽ストリーミング企業のPandoraは従業員の7パーセントを解雇、好調に見えていたドローンスタートアップのLilyは資金調達に失敗し、事業の閉鎖を発表、クラウドストレージのスタートアップBitcasaは会社が存続しないことを発表するなどの状況が続いている。
部署やポジションのクローズといった理由によるレイオフはシリコンバレーでも日常茶飯事となっている。レイオフによって仕事を失う可能性は年に20%ともいわれ、次の仕事を見つけるまで6ヶ月から24ヶ月は必要だというのが現実だ。
日本ではブラック企業と呼ばれかねない状況がシリコンバレーの大手企業ではごく当たり前な風景となっているのである。
雇用コンサルティング会社の米チャレンジャー・グレイ・クリスマス社CEO、 ジョン・A・チャレンジャー氏によると「 人員削減数上昇の原因は、主に原油価格の下落と公共支出の削減によるもの 」であるとし、2015年10月の労働統計局のデータによるとアメリカ国内の採用者数は510万人に対し月末時点の求人数は540万人で、採用者数が 求人数に追いつかない状況がみられるため2016年のアメリカの雇用市場では「レイオフが減少して、雇用が増加し、賃金が上昇する」 と指摘している。