【前編】事業家セラピスト中野潤×中村あきら対談「マイクロバイアウトして不労所得になるには?」

間接照明のネットショップをバイアウト(会社売却)して、不労所得をえた中野潤。現在はセラピストをやる傍ら、事業家としても活躍中だ。不労所得はどのようにして得たのか、不労所得の生活で得たもの失ったものは何なのかを中村あきらが詳しく聞いていく。
【中編】「不労所得で得られるものと失うもの」はこちら
【後編】「不労所得ウツから抜け出し、新しいビジネスを始めるには?」はこちら

中村あきら(以下あきら) 潤くんこんにちは。こうやって対談インタビューさせてもらうのは7年ぶりだね。

中野潤(以下じゅん) インタビュー!あったね(笑)。ピースロックカフェのときだから7年ぶりか!25歳のときだもんね。

あきら そう。もう7年も経つよ。それで今回は、潤くんがあれから今まで何をしてきたかを聴ききたいんだけれど、潤くんってあのあと会社起こして、バイアウト(会社売却)してまとまった収入を手に入れたじゃない。まずはその経緯を教えてもらえる?

間接照明のネットショップで年商1億!

じゅん ざっくり言うと、あきらっちからピースロックカフェの取材を受けて4ヶ月くらいして、あのカフェを辞めちゃったんだよね。やっぱ若気の至りだったから、食えなかったね、創業メンバー全員は。と、やっぱり立ち上げは好きだけど、お店がオープンして運営フェーズになるとモチベが続かなくてね。やっぱ自分は「0→1」を創る人間なんだって思ったね。カフェを辞めた後半年くらい、ニートのような生活を送ってた。いつも面白いなと思っていることなんだけど、自分で何か始めるときって結構体力がいるから、俺は大体半年くらい沈む時期っていうのがあるんだよ。嵐の前の静けさというか、ジャンプする前にはかがむみたいなものというか…鬱々として過ごしてたね。それでその準備期間が終われば2、3日くらいで何をするかを決断して動き出して、中野照明商店(ナカショウ)を始めたんだよ。

中野照明商店潤くんが売却した中野照明商店

あきら ナカショウっていうのは間接照明の通販会社だよね。何年くらいやってたの?

じゅん 自分でもビックリするんだけど、かれこれ5年くらいやってた。一人でやっている時期もあったんだけど、パートナーをしてくれる人を見つけたら、チームに入ってもらって一緒にやる時期もあったりした。なんだかんだ5回ぐらいチーム変わってると思う。計7人くらいの人にサポートしてもらったかな。売上は上がったり下がったりしながらも最終的には月商800万の年商1億くらいで落ち着いたんじゃないかな。それで事業そのもの売却したって流れ。

あきら なるほど。そもそもなんで間接照明を販売するサイトにしたの?

じゅん 本当にただ「起業したい」って熱に押されてただけだからね。単純に、当時好きなものの中に間接照明があったから選んだんだけど、市場調査とかもあんまりしてなかったんだよ。今思うとすごい怖いけど若かったんだろうね(笑)。
財務のことも何もかも分かんなかったのに、がむしゃらに行き当たりばったりやってた。

中野潤×中村あきら

あきら それでも伸びていったのは何がポイントだったと思う?

じゅん SEO(検索エンジン最適化)が本当に上がっていってた。当時は今ほど大変じゃないかったから、だから当時は競合が少なかったんだろうね。

あきら 「間接照明」ってキーワードだけでサイトが検索エンジンの上位にヒットして、多くの見込み客がサイトに訪れたってことだよね。

じゅん そうそう。あれ上がってなかったら、やばかった(笑)。あとは基本的にカフェをつくったりしてたから、ものづくり発想というか、商品写真のディテールやサイトのデザインとかは他のサイトより凝ってたと思う。それが上手く集客にも合わさったんじゃないかな。

あきら バイアウトについて詳しく聴こうと思うんだけど、なんで会社を売却しようと思ったの?

マイクロバイアウトで大切なことは仕組みをつくること

中野照明商店の中野潤

じゅん 正直に言うと5年間やってて、チームの入れ替わりも激しくて、モチベーションがドン下がりしてたんだよね。自分は何か一つをずっと続けるっていうことに向いてないなって思ったし、そこはあきらっちと本当に対照的だなと思う。あのときはチームが3人だったから、三人で話し合って売却することになったけど、その2年前からネットショップはもういいんじゃないかなって思ってた。あとやっぱり売上がずっと1000万を超えなかったっていうのも理由かな。どこかでこの事業は頭打ちになるって感じてたりもした。それに、売却って今までの商品を売るとかサイトを作りこむとかとは違うフェーズだから、そこでまた新しいことができるっていうのが刺激的で面白かったね。

あきら 売却するときの相手探しはどうしていたの?

じゅん 個人的にもいろいろアプローチしたし、仲介業者さんにもお願いしたよ。仲介業者を通して話す相手はリアクションも良くて、話も進んで行ったから、基本的には業者を通してやったよ。結局、「営業利益×18ヶ月」がサイトのM&A相場*で、ほかにも需要とかで値が変動するみたい。

※売却額はサイトの規模により大きく変わる

あきら 営業利益が月100万円だったら1800万円が売却額ってことだね。たしか上場会社に売却したんだよね。なんでそこに決めたの?

じゅん 正確には上場会社の創業者だね。創業者さんは、今は、会社の経営には直接関わってないみたいなんだけど。そこに決めた理由は一番財務が強くて、安全そうだったことと、他のところは財務諸表を見ると、資金の残金全部使って買収しようとしてんじゃんみたいなのもあったから。あと単純にその人がかっこよかったんだよね(笑)。

セラピスト中野潤

あきら じゃあ、その人の持つ安定した資金力と経営者としての魅力に惹かれたっていうのが、売却した会社に決めた理由か。いい話だね。じゅんくんのネットショップ売却ってすごく良い事例だと思う。ニュースで出てくる買収劇って何十億、何百億って話ばかりで若い子には想像もつかないだろうけど、潤くんみたいに年商1億の会社を実際に売却して次に進むっていうのは、もっと現実味があってみんな目標にし易いんじゃないかな。これを仮に「マイクロバイアウト」って表現したときに、今から考えると、どうするとこのマイクロバイアウトは上手くいくと思う?

じゅん 当時はとにかく成功するぞって熱と、仕事より人生を優先したい欲求に押されて、なるべくシンプルにしていったんだけど、それが良かったんだろうね。僕らは結構仕事なくすことが好きな人間たちだったから。今のECは運営だけなら、一人か二人で回せるぐらい効率化できるからね。オペレーションもシンプルにマニュアル化して、ほとんど外注に頼むことができるからね。そうすると、売却しても誰でも簡単に運営できて、売上げの維持はできる。マニュアル化することで個人にノウハウを蓄積させずに済むから、売却するのはシステムだけで大丈夫ですよって状態にする。職人さんみたいに自分がノウハウとか抱えちゃうと買収した会社に入ったりしなきゃとか、受け渡しにすごく時間かかるからね。

あきら じゃあ、秘訣はなるべく人に依存しない仕組みを作って、全部マニュアル化できるようにするっていうことだね。

中編につづく

次回は、【「不労所得で得られるものと失うもの」をお届けします。

【中編】「不労所得で得られるものと失うもの」はこちら
【後編】「不労所得ウツから抜け出し、新しいビジネスを始めるには?」はこちら



parcy'sがたくさんのメディアに取り上げられました!