「アドテック東京2015(ad:tech tokyo)」に登壇してきた!
アドテック(ad:tech)は、マーケティングに関わるビジネスリーダーに向けて世界11都市で開催しているデジタルマーケティングイベント。マーケティングに役立つ手法やツールの情報を学ぶ場として10年以上にもわたって開催していて、毎年世界11都市で9~10回開催されている。
今回の「アドテック東京2015(ad:tech tokyo)」は総来場者数3万人。
デジタル分野の最新トレンドについて、熱い議論を交わす場として日本一有名なイベントだ!
「アドテック東京2015(ad:tech tokyo)」は2日間にわたって東京国際フォーラムにて行われた。
またこの2日間のフルカンファレンスパスは146,880円という高額なカンファレンス。
それだけ、目の肥えたオーディエンスと高レベルなスピーカーたちが集まるカンファレンスなのだ。
目次
EC業界のトッププレーヤーとのパネルディスカッション
オムニチャネルと一言で言っても、実現方法は各社ごとに異なります。商品特性、顧客との関わり、顧客の購買行動によって、オムニチャネル戦略は変わります。チャネル単位ではなく、会社全体もしくはブランド全体への効果への評価も各社の戦略に従います。そして、それぞれの会社ごとに社内業務の変革が必要です。アパレル、ドラッグストア、専門店の各分野で、UX、業務、組織の観点で、先端的なオムニチャネル事例を作ってきたパネリストに鋭く切り込みます。(Written by 佐々木 裕彦氏)
ぼくの出番は、1日目の16時~からのセッション。
パネリストのみなさんは、ECのトップを走る猛者のたちだった。
テーマは「オムニチャネルの加速は消費者ニーズを開拓するのか」だ。
オムニチャネルとは、店舗やイベント、ネットやモバイルなどのチャネルを問わず、あらゆる場所で顧客と接点をもとうとする考え方やその戦略のことを言う。
いま、日本ではオムニチャネル戦略に対して課題を抱えている企業が多く、自社で推進していく場合にどのようにしていけばいいか分からないのだ。そういった悩みに、このパネリストたちが応えるべく選ばれた。
ネットイヤーグループ株式会社取締役・佐々木 裕彦さん
デジタルサービスで日本ですごく有名なネットイヤーグループの取締役佐々木さん。今回はモデレータとして、パネリストの話を引き出してくれた。
株式会社ベイクルーズ取締役・村田 昭彦さん
アパレルブランド「JOURNAL STANDARD」などの有名ブランドをたくさん持つベイクルーズグループの取締役村田さん。様々なアパレルブランドを展開するベイクルーズならではのオムニチャネル戦略を話してくれた。
株式会社メガネスーパー川添 隆さん
大手メガネブランド「メガネスーパー」のECを推進する川添隆さん。メガネブランド特有のオムニチャネル戦略を話してくれた。
株式会社ココカラファイン OEC代表取締役社長・郡司 昇さん
ドラッグストア「ココカラファイン」OEC社長の郡司昇さん。薬を扱うドラッグストアならではのECの売り方、オムニチャネル戦略を話してくれました。
カスタマージャーニーからオムニチャネル戦略を意識せよ!
さてそんな中、ぼく中村あきらが伝えたのはずばり「カスタマージャーニーからオムニチャネル戦略を意識せよ!」ということだ。
最近日本では、カスタマージャーニーという言葉を良く聞くようになった。
カスタマージャーニーは訳すると「顧客の旅」だが、これはお客さんが商品を購入するまでどのようなプロセスを踏むのかを考えることを意味する。
ぼくの一人暮らしインテリアの「ZIPANGs(ジパング).com」でもこのカスタマージャーニーを意識したコンテンツ展開をしている。以前の記事でも紹介したが「ZIPANGs(ジパング).com」は1年で10倍成長、250万PVまでアクセスを伸ばした。それはこのカスタマージャーニーを意識したコンテンツ展開をしたことによるものだ。
例えば、家具を買うというプロセスに至る前にはどのような行動があるだろうか。
まずは地元の家具屋さんを探すかもしれない。インテリアの雑誌を見るかもしれない。
そういったお客さんに対して「ZIPANGs(ジパング).com」では、全国のインテリアショップというコンテンツやインテリア本といったコンテンツを用意してある。
もっと前の行動に着目すると、家具を買うということは引越しをしたことが考えれる。
なので、全国の引越し会社一覧や全国の不動産会社一覧というコンテンツ、引越しをする理由があるとしたら、大学入学がある。
そしたら全国の大学一覧やそのクチコミと言ったコンテンツも日々制作中だ。
また地元のインテリアショップを探している人は、スマホで探している姿を想像することができる。
そうするとスマートフォン向けのデバイスで見やすいように優先順位をつけてオムニチャネル戦略を練っていく。
そうやって、カスタマージャーニー(顧客行動)を意識することで、どのようなコンテンツ展開・ブランド展開をすればいいかが見えてくるし、そのカスタマージャーニーの瞬間瞬間で最適なデバイスやチャネルを選んでいけばいいのだ。
海外の専門EC・オムニチャネル事例
今回は日本の各専門分野に特化したECをやられている方々ばかりだったので、その各専門分野の海外EC事例・オムチャネル事例を合わせて紹介した。
メガネ店舗でECで注文をする「WarbyParker」
メガネ通販のショールーム型ストア「WarbyParker」
オムニチャネル戦略を考えるうえで、やはり店舗展開は考えざるをえない課題だろう。そ
んな中アメリカでは、実店舗で選びネットショップで買うというスタイルも主流になってきている。
どういうことかと言うと、実店舗で商品を選んで、店舗にPCが置いてあり、スタッフと一緒にECサイトで商品を購入することができる。
その一番の代表的なモデルがメガネショールームの「WarbyParker」だ。
「WarbyParker」は、ショールームでメガネを選びその場でネットショップで買うことができる。
このモデルのメリットは、在庫をお店に置かなくてもよくて、展示がすごくシンプルになる。
よく靴屋などを見ると、そこらじゅうに在庫を置く必要があるから店内がごちゃごちゃなっているのを思い出さないだろうか。このモデルは、それがなくなって店内をAppleストアのようなスタイリッシュな店内にすることができる。
カスタマージャーニーを考えると、店舗デザインという点で付加価値を与えることは素晴らしいオムニチャネル戦略になりえる。デザインがスタイリッシュというだけで、お客さんはそれを体験したいという大きな動機につながるからだ。
「WarbyParker」は全米に20店舗以上もあり、さらに店舗を増やし続けている。
日本はこれから高齢化の時代だ。そんな時代だからこそ、年配の人にもECと触れやすくなるショールーム型ECストアがきっと求められてくるはずだ。
複数の薬を管理してくれてデリバリーしてくれる「PillPack」
薬剤ECの「PillPack」
今の時代は昔に比べて、数多くの薬を日常的に服用している人が多い。
風邪薬に始まり、サプリメント、花粉症、鼻炎、アレルギー、抗うつ剤、生活習慣病など多くの薬がある。
それらの薬の一日分を時間と配分を見やすくしたパックに入れてデリバリーするというECサービスだ。
こうすることで薬の飲み忘れも少なくなるし、何より薬のパッケージがおしゃれで顧客体験の向上につながっている。
2013年創業の「PillPack」は、すでに投資家から1,280万ドル(約15億円)を調達しており、売り上げは推定1,500万ドルに達する。
これは購買前だけではなく、購買後のカスタマージャーニーを意識して、サービスを作り出した良い事例だ。
購入前だけではなく、購入後を含めた日常の体験を素晴らしいものにしてあげることでお客さんは商品を選ぶ理由となるはずだ。
海外の事例からわかるように、これからの小売のオムニチャネル戦略は最高のカスタマージャーニーをつくったサービスがどんどん勝利していくだろう。
オムニチャネル戦略というと、とにかくお客さんと接点をもつことだと考える会社は多い。
しかし今新たに誕生し伸びている会社を見てみると、オムニチャネル戦略で考えるべきことはそうではない。
それはカスタマージャーニー、つまりお客さんの購入プロセスをより豊かにしていくこと、より素晴らしい体験へと変えるにはどうすればいいかを考えることだ。
そのプロセスがお客さんにとって幸せであればあるほど、あなたの会社が提供するカスタマージャーニーへ喜んで足を踏み入れてくれるだろう。
ぜひ素晴らしい購買プロセスを提供する会社が増えることを願ってる。
パネリストのみなさま、とても素晴らしいセッションをありがとうございました!