小規模ネット経営に安心感をもたらしてくれるリスク分散の方法

うちの会社は、設立して今年で4年目になりますが
経営をすればするほど思うのが、経営とはとても不確実なものだということです。

この4年の間に、様々なことが起こりました。
内部要因では、資金ショートに陥り、社員を解雇、訴訟問題など。
外部要因では、3.11東北大震災がありメーカーや配送業者がストップし、
事業が一時停止せざるを得ませんでした。

また外注している会社が突然サービスを停止したり、連絡がとれなくなることもありました。
直接的なは関係ありませんでしたが、リーマンショックや円安。

この4年の間だけでも経営を揺るがすできごとが数多く起こりました。

内部要因だけなら、自分の経営技術の向上で
なんとかどうにかできますが、外部要因は自分ではどうにもできません。
まさに何が起こるかわからない。しかし、それこそが経営と言えるほどです。

そんな何が起こるか分からないことに対しても
経営者は準備をしていなくてはなりません。

今回は、もし何か起こった時のために僕らの会社が準備していること、
そして、これからやろうとしていることを紹介します。

会社が大きくなればなるほど、リスク分散は必要

会社が大きくなると、さまざま外部要因の影響を受けるようになってきます。
それは関わる会社や関わる人が増えていくからだと思っています。
関わる人が少ないときは、事業の小回りが利くので経営者自身が移動したり
やり直したりすればすぐ対応はできます。

しかし大きくなればなるほど、社会に深くかかわっていくことになるため社会の影響を受けるようになってきます。

大体年商1億を超えたあたりから、その社会の影響を受けるようになった感じはします。
年商1億円まではとにかく攻め、それを超えたら経営者が学ぶべきことはとにかく「守る力」です。

守る力が強くなればなるほど、会社は大きくなっていくのが今のステージかなと感じています。

経営のリスク分散するべきは人・事業・資産の3つ

事業を継続していくうえで、大切なものは人・事業・資産の3つです。
なので経営でのリスク分散は、この3つをいかに分散していくか、外部要因から守っていくかを考えるのが重要だと思っています。

これは小さい会社でも、大きくなっても変わらないと思います。

人・事業・資産を決して一か所にまとめない

何が起こるか分からない外部要因に対して、
一番リスクが高いのが、人・事業・資産を一か所にまとめてしまうことです。
例えば東京にこのすべてがある場合、大地震など、「万一」の際に、事業を継続するために必要な全てがなくなります。

そうならないために、今できる最低限の備えをするのは経営者の仕事だと思います。

小さいネット会社でもできるリスク分散① -人・働く場所-

参考 「終身旅行者PT」(木村昭二 著)によると

会社にとって人や、働く場所は、
事業を継続するうえで重要な要素です。
日本は、地震、津波、台風、洪水、土砂災害、
火山災害など自然災害や原子力発電所事故などの
人的災害が発生する可能性が高い国です。

日本だけに限りませんが、経営者の手腕だけではどうにもできない、
外部要因が起こることにそなえて、
極力リスクを分散するにはどうすればいいでしょうか。

働く人・外注先を世界中に分散させる。

うちの会社では、働いている人・働く場所を分散させています。
単純作業は中国の会社に、税理士・弁護士なのどの士業は東京に、サーバー関係はアメリカに。
経営陣の居住は沖縄に。といった具合です。

これでどこかの地域に天災や人的災害が起こった場合でもそのセクションをストップし他へ移動することができます。

複数の場所に分散していることで、どこか一か所で不測の事態がおきたときも、別の場所にいるスタッフや関連会社で対処をすることができ、会社の存続の手を打つことができます。

特定の人員によって会社の成果が集中しないように、更新履歴・データ・マニュアルをしっかり残していく。

以前のブログにも書きましたが、
(前記事:「経験主義」から「仕組み主義」へ
会社の仕組みが経験主義では長く働いている人・もしくは優秀な人に情報とノウハウが集中してしまいます。

これだと成果を出せる人が会社を辞めてしまったら、会社にとっては大きなダメージです。

これを避けるために、更新履歴・データ・マニュアルをしっかりと残し経験や知識に依存せず、一度成功したものは誰もが同じ結果を残せる仕組みを整えておくのが大事です。
これで経営者が死んでも会社は継続できます(笑)

小さいネット会社でもできるリスク分散② -事業-

これは事業を分散することで、どこかの事業が大変な状態になっても他の事業によって補うことができます。
ただ小さな会社はそんなに多くの事業を持つことはできません。

なのでここでは一つの事業でもできるリスク分散の方法を紹介します。

集客の方法を分散させる

ネットでは、色んな集客の方法があります。
口コミ、リスティング、SEO、アフィリエイトなどですが、陥りやすいのが結果がでた集客方法一つに頼りきりになってしまうということです。

例えば、SEO一本で伸びている場合、Googleが検索アルゴリズムを変えたりすると一気に売り上げが落ちてしまうということがあります。

Googleの「検索アルゴリズム」とは?

検索アルゴリズムとは、この業界の専門用語であり、Googleが、無数のウェブページ、そして、同社が持つその他の情報を調べ、最適な答えと思われるアイテムを返すために利用する、所謂、レシピのような存在である。
自分のサイトが検索エンジンで何位に表示されるかは、Googleのアルゴリズムによって自動で決まる。

これを避けるために集客の方法を分散させ、集客の安定化をさせます。
うちではSEO一つにしてもビッグキーワードではなく、ロングテールに力をいてれいます。

ロングテールに力を入れると、アルゴリズム変更に売上がほとんど動じないのです。

ロングテールSEOとは?ロングテールSEOとは、一般には特定のキーワードでの上位表示だけではなく、関連する様々なキーワードでWEBサイトをヒットさせ、より幅広い、またはより購買に近い検索を行うユーザーを獲得できるようにするためのSEOのことを指します。

事業の流れを分散させる

例えばうちはインターネット通販ですが、
特定の仕入れ業者・特定のメーカー・特定の配送業者に依存しないように努力しています。
事業の流れが特定の会社に依存しいてると、どこかが潰れたり天災を受けたときに僕らの会社にも影響が及んでしまいます。

いくら自分たちの経営の技術を学んでも、関わる会社すべてが良い経営をしているとは限りません。
社会に関わるうえで、特定の会社に依存しないことはとても大事です。

うちでは、複数の仕入れ業者を必ず持つようにしています。

小さいネット会社でもできるリスク分散③ -資産-

会社が大きくなればなるほど、経済の影響を受けたり、国の政策の影響を受けます。
会社の資産を守るための力は必要になってきます。
小さいときから資産を分散していると後ですごく楽だと思います。

お金の流れを複数の金融機関に分散させる。

預金はもちろん、融資・出資など特定の金融機関に依存しないことです。
特定の銀行のみに融資を依存していると、国の金融政策をモロに受けます。
例えば2011年には東日本大震災の混乱と影響により中小企業金融円滑化法終了により、融資が下りづらくなったりなどがありました。

ほとんどないでしょうが、すぐに全額返済してくれと言われれば一気に経営難に陥ります。
うちでは、預金も用途によって複数の銀行に、融資も東京の銀行、沖縄の銀行、地銀・信用金庫・政策公庫と分散させています。
給与支払いはこの口座、メーカー発注用はこの口座などに分けています。

これからは世界中の金融機関への分散も必要だと考えています。

サーバーをクラウドに変更し、ボタン一つでサーバーの場所を変更できるようにする。

ネット企業にとって一番の資産は、そのサイト自体です。
そのサイトが置いてあるサーバーはすごく大事な場所です。
もしサーバーを置いてある場所が天災にあうとサイトデータがなくなってしまいます。

うちではサーバーをクラウドサーバーに変更することでボタン一つで世界中のサーバーにデータを移動させることができるようになりました。

サイトの商標登録きちんと整える

サイト名やサービス名は、ネット会社にとって大きな資産です。
大きくなった時に、この名前の権利を整えていないとサイト名の変更を余儀なくされる事態も起こります。

そうなったら、ブランディングもやり直し、サイトURLの変更によるSEOの影響など事業は急ブレーキです。
ここは特に時間がかかるところですが、うちでは弁理士さんと相談し時間をかけてでも整えています。

契約書をすべてちゃんと結ぶ

大きくなればなるほど、訴えられる可能性は大きくなってきます。
経営とは何が起こるか分かりません。関わる人・関わる会社が増えるとすべての人が良い人とは限りません。

また良い人であっても、問題が起こり裁判などに発展すれば家族や自社の従業員を守るため必死に戦ってきます。
そしてその問題の管理や人の見極めも大きくなると経営者の感覚だけでは把握ができなくなります。

そうなったときのために、最初の契約書というのはとても大事です。
契約者を一度弁護士さんに見てもらった上で結べるとベストですが
最初は大きなコストになってきます。

契約でどこで問題が起こるかというと、ほとんどが解約・更新のときです。
なのでここを備えるような契約にすれば、まずは簡単なリスクヘッジができると思います。
見るべきは、解約条件・更新条件・契約内容・成果内容でしょうか。

うちでは上記を徹底的に見たうえで必ず長期契約は結ばず、どんな契約でも3ヵ月更新にしています。

まとめ:小さなネット会社でもリスク分散することで経営者に安心感を与えてくれる

以上がぼくらの会社がやっているリスク分散の方法でした。
これらをやることで事業に安定と何より経営者に心の安定をもたらしてくれます。

事業の成長スピードは落ちますが、
確固たる基盤の上で経営をしているという自信と
経営者が会社を離れても事業が回るという余裕を与えてくれます。

僕はこれを徹底したことで
事業の施策の成否に対して、寛容になったと思います。
(前までは一つ一つの施策が勝負で失敗を許せない状況でした)

結局のところ、成功は失敗の数です。
失敗しても大丈夫な状況を経営者が作っていくことで会社が伸びていくのだと思います。

まだまだ自分もできてないことはたくさんありますが、これからも「攻め」と「守り」の両方を鍛えもっと経営を磨き続けたいと思います。

 

 

経営者は、つねに死を覚悟して、しかもつねに方向転換する離れわざを心に描ける人でなければならない。

– 松下幸之助


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