【中編】パシャデリックCEO山村健児×中村あきら対談「海外のMBAに通い、チームを結成して起業する!」

ユーザー数10万人。世界数十か国に展開する絶景写真共有サイト「パシャデリック(pashadelic)」。そのパシャデリックを作ったCEO山村健児さん。山村さんは80ヵ国以上の留学生が通い、世界各国にキャンパスがあるハルトインターナショナルビジネススクールに通った。そこで起業アイディアを醸成し、起業チームをつくった。そのストーリーを聞いた。
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あきら 今度は、アメリカで起業するっていうところについて詳しく聞いていきたいんですけど、山村さんはまずハルトというビジネススクールに通って、そこで世界中から集まる色んな人種のチームをつくって、そこで起業したっていう刺激的な起業ストーリーを持ってますよね。アメリカには何年ぐらい行ったんですかね?

けんじ ちょうど4年半ぐらいですね。

本田直之に憧れて、海外で起業を目指す!

パシャデリック山村けんじさん

あきら どういうきっかけでアメリカのMBA、ハルト・インターナショナル・ビジネススクールに行こうと思ったんですか?

けんじ きっかけはですね、まあ私が個人的に憧れてる方に本田直之さんっていう方がいまして…。

あきら ああ、レバレッジシリーズの。

けんじ そうです、レバレッジの。元々、わたしが証券マンだったときに、彼がいた会社に出入りしていたんです。彼はその会社で常務をしてましたが、友人たちと一緒に会社を立ち上げて独立しました。それで、彼がレバレッジ・リーディングを出版したときに、名前だけは知ってたんで、もう内容確認せずに手に取ったんですね。それで、あの本にすごい感動しちゃいました。それで私もさっそく1日1冊読もうって言って、ずっと読んでいくうちに気が付いたら、最初は経営のために読んでいたのに、「本田直之さんかっこいい、あんなキャリアが進めたらいいな」と思うようになったんですね。彼が本でよく主張するものの中に、「人生で生きていく三種の神器の知識は、『英語と、ファイナンスと、IT』」というのがあります。実際、彼も海外のMBAに行ったので、わたしもどうせMBA行くんなら、日本ではなくて英語圏で行くべきだと思うようにました。それで、英語圏で、かつ短期間で行ける所どこだろうっていうのを探したらハルトがちょうどフィットしました。

パシャデリック山村さん

あきら ハルトは世界各国色んなところに校舎があるビジネススクールですよね。

けんじ そうです。元々、本校がボストンにあります。それでキャンパスがボストン、サンフランシスコ、上海、ドバイ、ロンドン。今年からブラジルのサンパウロのほうにも出来ました。ほんとにインターナショナルなん学校なんですね。それで、他の学校とかでもインターナショナルビジネスに特化しているという所もあるんですけれども。ハルトが1番強いのは、ほんとに学生とキャンパスの立地が多様なんです。

あきら いろんな国のキャンパスに色んな人たちが集まる仕組みですね。

けんじ もう全部回れるんですよ。それで1学年で大体80カ国以上から学生がきます。もう聞いたことの無いような国の名前の人も登場してきます。

あきら すごい(笑)。

けんじ 卒業した今でもやっぱり、例えば友人が勤務している先で、海外進出の日本担当になったから、ちょっと手伝ってくれとか。逆に、私もちょっと、この国でこういうこと知りたいんだけど教えてくれ、っていうやり取りが今でもあります。ハルトのネットワークがなかったら全くそんなこと出来ませんでした。そういった意味ではすごくいい選択をしました。

80ヵ国の留学生、世界中にキャンパスがあるハルトビジネススクール

ハルトインターナショナルビジネススクールハルト・インターナショナル・ビジネススクール(Hult International Business School)

あきら ハルトについてちょっと詳しく聞きたいんですけど。いろんな国にあって、校舎を回れるんですよね。例えば2カ月はサンフランシスコ校に行って、次は上海校に行って、次は、ヨーロッパっていうふうに、各地のキャンパスを回ることも出来るんですよね。

けんじ そうですね。そこが1番の醍醐味だと思います。そこのキャンパスに移動すると、基本的に現地の先生と、現地に特化した内容が提供されるので。例えば中国でビジネスをやりたいっていうんであれば、間違いなく上海校に行って、勉強すると、法律とかも含めて学ぶことになるんで、すごく充実したものになるはずなんですよね。

あきら 例えばずっとサンフランシスコ校にいても、いろんな人が回ってくるっていうことなんですよね?

ハルトのグローバルキャンパスハルトのグローバルキャンパスがある場所

けんじ おっしゃる通りです。実は、私は移動せずにサンフランシスコ校だけなんですね。なぜなら、わたしはブラジル以外は全部仕事したことがあったんですよ。だから、サンフランシスコに残って、毎年違うキャンパスから来る色んな国籍の人とどんどん知り合って、一緒にチームとして宿題やプレゼンを通して仲良くなっていくってことをしていました。

あきら 色んな国の人と付き合っていく過程で、なにか意外だったこととや驚いたこと、学んだことなど何かありますか?

けんじ ポジティブ的な話としては、アメリカ人が個人主義、結果主義ってイメージがすごく強いけれど、私が経験してきた中では、一番アメリカ人がグループやチームワークを大切にしていました。

あきら へえ。日本人が持つ一般的なイメージと実際は違ったんですね。

けんじ あれはちょっとびっくりしましたね。なんかもっと「俺はこうする」とか、なんかそういう感じかなと思っていたら、どちらかっていうと、調和を取ろうとしたり、グループとしてより良いものにすることを考えてくれたり。あっ!そういう良い人という意味では、1番は断トツ、カナダ人でした。カナダ人の人で悪い人に出会ったことが無いんです(笑)。

あきら そうなんですか。

ハルトの授業風景ハルトの実際の授業風景

けんじ 人が良くて、優秀でいて、他の人を気にしてくれるっていう。もう、なんか、ちょうどアメリカ人と日本人を足して2で割ったような印象を持ちました。どの国の人と話しても、皆さんカナダ人すごい良いって言いますね。あとはすみません、変な、悪いほうの話をしますと、フランス人には困りました。

あきら それは、一緒にチームを組む上でってことですか?

けんじ 組む上で、ですね。もう、まず絶対意見曲げない。絶対曲げないんで、変な話、プレゼンの発表する5分前まで、ずっと喧嘩してるんですよ。向こうは「俺は妥協できない」、「わたしはやりたくない」、「俺はやりたくない」って言って。そうすると、チームとしては結局、多数決で決めるんですが、彼または彼女の意見が通らないと、「だったら、俺はプレゼンに参加しない」って言って参加しないんですよ。

あきら へえ、そうなんですか。

けんじ はい。それぐらい自分の考えを、ちゃんと主張として持っているという意味ではすごいんですけども、グループとしてやっていくっていう意味では大変でした。授業はチームで行うものが多かったんですが、期間にも限りがあるので、大抵はどこかを誰かが妥協したりしなくちゃいけない状況になるんですね。だからわたしは、「ハッピーミドルポイント」って、「幸せな中間地点・納得できる妥協点」を探そうってよく言ってたんですけども。みんなで大体はそれに賛同してくれるんですけど言ってたんですけれども、なぜかフランス人だけは、いつも妥協してくれませんでした。

MBAで起業アイディアを見つけ、MBA内で創業メンバーをみつける

山村けんじ

あきら そこで出会った人と組んで起業した感じなんですか?

けんじ ああ、そうですね。私だけじゃなく、他の友達を見ててもクラスメイトと手を組んで起業している人っていうのは、私の代だけで多分10社ぐらいありますね。

あきら 例えばそういうふうにMBAに入って、いろんな国の人と組む、勉強するわけじゃないですか。その中でどういう人に注目して、「この人と一緒に起業したいな」と思ったりするんですか?

けんじ 私の場合は、まず素直な人ですかね。素直っていうのは、もちろん私が何かを言ったらそれをちゃんと受け入れてくれた上で、何か考えて話してくる人だとか。もしくは嘘をつかないっていうことですかね。裏があるか無いかっていったら変ですけれども。自分が大切にしている信条が共有できる人がいいですね。あと能力的には、やっぱり自分と被らない人がいいです。

あきら 被らないというのは、具体的には?

けんじ 私の場合、例えば営業とかプレゼンっていうものが得意なんですね。しかし、パシャデリックを立ち上げるなら、どうしても必要なのがシステム系でしたので、そのシステム系を探さなきゃいけない。
それに、会社として回す上で、もう1つ、マーケティング関係をもっとしっかりとやってくれる人が、必要だということになります。だから、そこにはまる能力を持った人を探しました。

ハルトのクラスメイトハルトの多種多様なクラスメイト

あきら じゃあ、人を探す前に、パシャデリックをやりたいっていうのがあったんですね。まわりの皆さんも、やりたいことことから逆算して、メンバーを集めてる感じでしたか?

けんじ 大体みんなそうだと思います。結局、起業にとって人の要素はとても大きいので、自分が目指すべき方向っていうのが決めて、それに関係する人は集めるということをした方が良いと思います。プライベートでは、能力やスキルを見て、親しさを変えるということはしないんですけどね。

あきら じゃあハルトに行ってるときに、パシャデリックっていうのがやりたいってなったときに、パシャデリックについて、チームで議論や、先生に相談とかはしたんですか?

パシャデリックのプレゼンハルト授業でのパシャデリックのプレゼンテーション

けんじ 友達と議論っていうのは、結構やりました。授業の一環としても1回やりました。
ちょうど、まさに起業のクラスっていうのがありまして、そこでグループで何かを題材にして発表しなさいっていう課題がありました。それでパシャデリックを取り上げました。また、先生とも、1回ちゃんと話をする機会が個人的にありました。先生は、それは面白いから、ライバルが出てくる前に、絶対どんどんやったほうがいいって話をしてくれました。この先生には今もアドバイスをいただいてます。

アメリカ人の創業メンバーをつかまえろ!

あきら もし、例えば次にアメリカで起業したいとか思ってる人に、なにかアドバイスするとしたら何かありますか?

けんじ まずアメリカで起業したいなら、アメリカに実際に来ないと駄目ってことですね。ちょっと当たり前なんですけれど。でも、ほんとに現地に行くっていうのは大事です。

あきら それは本当にそう思いますね。ぼくも英語もできないけど、何をやるかも分からないけどとりあえずシリコンバレーに移住したこともあって、すごく共感します。山村さんが言うMBAに行くっていうところでも、その場所で受けろってことですか。

中村あきら×パシャデリック山村けんじ

けんじ そうですね。そして、アメリカに行って、まず一緒にやってくれる人を探さなきゃいけないんです。どうやって人材を確保するかってことですね。これが一番大変です。アメリカのほうですと、特にビザ絡みの問題はどうしても出てくるんで。1番いいのは、アメリカ人を掴まえてくることです。じゃないと、なかなか上手く始められないはずです。

あきら そういう人材確保のためにも、ハルトや、他のMBAスクールにまず行く、っていうのはいい方法なんじゃないかなって思いますね。

けんじ 結構いいと思いますね。もしもアメリカでやりたいっていうふうに思っているんであれば、例えばハルトでなくても、逆にアメリカ人が圧倒的に多い学校に行ってもいいと思います。アメリカは土地に寄って人種や国籍が全然違いますから、自分のやりたいことに合わせて、場所を選ぶと良いと思います。

あきら なるほど。じゃあハルトの特色として、何をやるかも決まってない、どこの国でやるかも決まってない、でも起業したい、海外で起業したい、みたいな人向けだってことですね。

けんじ そういう人にはいいと思いますね。そうすると、アメリカの可能性だけではなくて他の国々、各生徒からいろいろ話は聞けるんで。そっちのほうが面白そうだなとか見えてくるはずです。

あきら ハルトの場合は、そこで知り合った世界中の人とつながることでアメリカだけじゃなくてその他の国の起業の選択肢も増えそうですよね。例えば、インドとかで起業する場合、必ずインド人が共同経営者としていなくてはいけないんですよ。そういった場合に、ハルトで知り合った人と一緒にインドで起業という風な選択肢ができそうですね。

山村さんのハルト卒業スピーチ

後編へつづく

次回は、「英語で経営をすると一番変わるのが決断力!?」をお届けします。

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