【中編】ハーバードエグゼクティブMBA・森若ジョン幸次郎×中村あきら対談「シリコンバレーのスタンフォードとハーバードの違い」

ハーバードビジネススクールでエグゼクティブMBAを取得し、スタンフォード大学にも留学した森若ジョン幸次郎さん(33歳)。現在は、ハーバードだけではなくシリコンバレーでのつながりも多くなってきた。今回はジョンさんに「シリコンバレーのスタンフォードとハーバードの違い」をテーマに対談した。
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【後編】「自分のルーツを豊かにし、世界を豊かにする」

あきら シリコンバレーにあるスタンフォードと比べて、ハーバードってどういうところでしたか?

ハーバードはグロバールリーダーを輩出、スタンフォードはスーパーオタク・起業家を輩出する場

ハーバードの授業風景ハーバードビジネススクールでの授業風景

ジョン ハーバードは世界のリーダーを輩出するところです。世界のトップに君臨する政治家や実業家は、ハーバード卒業生、特にハーバードビジネススクールの出身が多い事で知られています。全てをマネージメントするために必要な決断力、判断力をはじめ、品格や教養を養う最適な場所です。私は、「ハーバードは、グローバルリーダー養成地」と呼んでいます。一方、シリコンバレーにあるスタンフォードはなにか一つに特化したプロフェッショナルが多い。良い意味でスーパーオタクばかりです。私は、「シリコンバレー、スタンフォードは、ざっくばらんなプロフェッショナルの集まり」と呼んでいます。そういう特徴を持つシリコンバレーの中でも会社全体をマネージメントするには、やはりリーダーシップを発揮して、組織を管理できる人が必要です。だから会社をオーガナイズする人は何かしらの形でハーバードのネットワークと関わっている人が多いという印象を受けます。シリコンバレーでもハーバードやスタンフォードを卒業した人たちだけが集まるパーティーや勉強会があるのでなるべくこれからも参加して行こうと思っています。そして、日本から来た留学生や起業家の皆様もその場に御連れしたいです。皆様のネットワークが広がり、日本人の視野も広がり、世界中に仲間がどんどん増えたら幸いです。

あきら そのネットワークはすごいですね。

ジョン やはり普通のミートアップのイベントでは会えない様な人といかに早く会えるかっていうのはビジネスする上でもすごく大事で、スタートアップなんて特にスピード重視ですから、そういう集まりはあまり公には出ませんが、面白い起業家がいればどんどん優秀な人材と必要なお金が集まってサポートをするネットワークがしっかり出来ています。

ロンドンにてハーバードビジネススクールのサミット卒業後に定期的に開かれるハーバードビジネススクールでのサミット

あきら 先ほどグローバルリーダーとスーパーオタクという対比をしていましたが、実際に生活していて具体的に感じる2つの場所の違いはありますか?

ジョン これは、私がシリコンバレーを好きな最たる理由とも繋がるんですが、シリコンバレーの方がなんでもスピードが速いし、「なにかをやってやる」という熱があると思います。アポとろうってしたらその日に話そうってなったり、勝手にアポイントが1日に5つや6つほどあったりします。もうみんなが「Ready」な感じです。ハーバード、ひいてはボストンやニューヨークはまわりをしっかり俯瞰できるように冷静であることが求められます。スピードも大事にしているのですが、それもあくまでビジネスとして早くアクションを起こした方が利益に繋がるからであって、アクションの前に戦略やプランをしっかり作り込んでいます。シリコンバレーのようながむしゃらな感じはないです。ただそんなシリコンバレーの舞台裏では、戦略を考えて起業家の情熱を支えている人たちがいるんですけどね。

あきら それはぼくもシリコンバレーで生活していて感じるところですね。スピードが早い。みんなビジネスが好きなのだなと感じるし、戦っている感も同時に感じますね。シリコンバレーはどうしてスピードを重視する様になったと思いますか?

スタンフォードビジネススクールシリコンバレーにあるスタンフォードビジネススクール留学のときの写真

ジョン やっぱり西海岸は東海岸に比べてアジア人が圧倒的に多いからだと思います。特にシリコンバレーにはインド人と中国人が全体の60%を占めています。彼らは、華僑・印僑としてその地で成功し、家族や一族を養わなければならない。そのためには無軌道でもがむしゃらに何度もなんどもチャレンジする。例え失敗してもくよくよなんかしてられない、彼らには家族の生活がかかっているんですから。そういう「絶対成功する!」って熱い想いは絶対何かを起こせる力があるんです。私は、「0→1」を創造するのはこういった人たちだと思っています。

あきら なるほど。ジョンさん自身はタイプとしてハーバード寄りの人かシリコンバレー寄りの人、どちらだと思いますか?

ハーバードは「1→100」にする人、スタンフォード(シリコンバレー)は「0→1」を創る人の集まり

ジョン 私自身は完全にハーバード寄りの人間だと思います。私が二代目ということもあり、そこにプライドもありますが、「0→1」を創るということをあまりしません。それよりも私の資質は「1→100」や「1→1000」というふうに既存のものを大きくする、成功させることに向いていると思います。だから自身を「イノベーションプロバイダー」と位置付けて、今ある企業や社会をイノベートすることによってより良いものにしようとしています。私はナンバー2が大好きです。おもてだって情熱を伝え、人を動かすのは、「0→1」をする起業家の方にしか出来ません。だから、あきらさんの様に自分で何かを創った人を私はすごく尊敬しています。どんな小さなことでもいいから自分で最初の一歩を踏んだ人を私はとても魅力的に感じます。私はそういう人を影でしっかり支えられる人になりたいです。

森若ジョン幸次郎と中村あきらの対談

あきら ぼくは事業で資金ショートした経験で「1→100」は苦手なんだなってわかりました。つまんなくなっちゃうんです、スピードも遅いし。やっぱり自分は立ち上げや「0→1」が好きなんだって改めて思いますね。でも「0→1」だけだとエンジンがなくなって、事業は拡大しない。「1→100」にモチベーションがある人にうまくバトンを渡さないといけません。ジョンさんは「0→1」ができる人を魅力的だと言ってくれましたが、僕は逆に「1→100」ができる人をすごく尊敬しますね。

後編につづく

次回は、「世界中の人脈を使い、自分のルーツを豊かにする!」をお届けします。

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