【前編】月夜野工房インタビュー「体温計からアートまで。110年の歴史と共に日本をガラスで照らしてきた」

月夜野工房取締役・4代目倉田弘樹

1905(明治38)年、創業者・倉田昌三氏によって設立した「月夜野工房」。体温計から街頭照明、花瓶、食器、アートまで創業から110年間ガラス一筋で日本の歴史と共に歩んできた。今日はそんな月夜野工房・現取締役4代目倉田弘樹さんに月夜野工房の歴史・ガラス職人への想い、ビールグラスができるまでのストーリーを語ってもらった。
【中編】「次の時代に繋ぐためにも、多くのガラス技法を取り入れる」はこちら
【後編】「人と人が寄り添って生きることをビールグラスに託す」はこちら

中村あきら(以下、あきら) 今日は工房を見学させていただきました。大変いい所で、いろいろ見て行くと迎賓館や皇居、帝国ホテルさんにガラスを提供されて、さらに皇太子夫妻がここに来られて、伝統ある工房だと感じました。元々体温計をされてたということですが体温計からどのように今のところまでいったのでしょうか?

日本の道路をガラスで照らしてきた

月夜野工房取締役・4代目倉田弘樹

月夜野工房取締役・倉田弘樹(以下、倉田) 元々、体温計とか温度計など、理科で使うようなガラス器具を作っていて、戦争が始まったので、今でいう群馬県の渋川市に疎開してきました。戦後、文京区にあった工場に戻ろうと思ったけれども、燃料とかガラスを作る上で環境が整っていませんでした。今のこの月夜野町にガラスをつくる環境があったのでそのまま移ってきたというのが、今のこの地にあるというきっかけです。

その直後、占領下の日本「オキュペイドジャパン」の頃は、体温計を輸出していたのですが、船便で赤道を越えて輸出しますから40度、50度の船内温度で、みんな体温計が割れてしまう。そういうことで、この商売やっていられないねと次に考えたのが、照明器具で道路の街灯です。戦後、復興していく中で、焼け野原に家が建ち、バラックの家が出来、なんとなく街が出来てきて、だんだん街灯が増えて明るくなってきた。その日本に照明ガラスを提供してきました。

あきら 日本の道路をガラスで照らして来た歴史ですね。

倉田 格好良く言えば、そのような感じです。ただ正しくは、そこに商売があったからという感じです。室内灯か室外灯かでいくと、もちろん裸電球にかけるシェードや、道路の外灯も作っていました。照明のカバーを作るのをしばらくやっていて70年代頃、戦後、高度成長期に入ってきた頃、いろいろな色ガラスを使って照明から花瓶、部屋を灯すものから部屋を飾るものにシフトしてきました。ちょうどその頃マイホームブームで団地がだんだん増えてきました。高度成長期に乗って花瓶を作るのが主になってきて、輸出。そういうのが70年代からの主力です。80年以降はだんだんそれが食器になり、あとはガラスで建築建材、壁や壁面を作るという、装飾の仕事をしました。最近、より食器に特化してコップとかお皿とかそういうものも作っています。

月夜野工房のガラス

逆に、ここ5、6年ぐらい前から空間デザイナーとか建築家とか、今までガラスを使わなかったジャンルの人が、どんどんガラスに興味を持ってきて、「こんなガラスを作ってみたり、こんなガラスをやってみたい」「こんなことってガラスで出来ないの?」という問い合わせが増えてきたので、そういうことに対応できるようなサービス、活動をしています。
したがって非常に時代に合ったガラスを提供する。時代が求めているところに乗っかっていく。どちらが主語か述語か分かりませんが、言い換えれば、あの時に市場が、みんなが求めているガラスを作ってきたというのがこの月夜野工房の歴史だと思います。

あきら 体温計に始まり照明にいって、花瓶、お皿、アートのようになってきたというわけですね。

倉田 本当にデザイナーさんの無茶ぶりにどう対応しようか必死でした。逆を言うとガラスの可能性を追求してきたと言えるのかもしれません。職人の会社なので「こんなこと出来ないよね」と言われるとくやしいので「じゃあやってみよう」「こうしたら出来るんじゃないか」いう風土はあります。

皇居新宮殿「千鳥千草の間」皇居新宮殿「千鳥千草の間」

帝国ホテル本館ロビー光壁帝国ホテル本館ロビー光壁

あきら そのような時代に変化した活動が評価されて卓越賞*を受賞されたり、また皇太子さまが見学に来られるというようになった感じですよね。

※「現代の名工」に厚生労働省が与える由緒ある賞

倉田 ありがとうございます。100年以上にわたいコツコツガラスを作ってきたからかなとも思います。皇太子殿下が2代にわたって見学に来て頂けるということもそうですが、そういう中で皇室がらみのお仕事が多かったというのは事実です。結果的に官公庁系の仕事も多かったというのは、評価のひとつなのかなと思います。

中村あきら月夜野工房

前編おわり

次回は、「次の時代に繋ぐためにも、多くのガラス技法を取り入れる」をお届けします。

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中村 あきら

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