【書評】村上春樹にとって「オリジナリティ」とは何か?『職業としての小説家』村上春樹

村上春樹「職業としての小説家」

村上春樹さんの自伝的エッセイ『職業としての小説家』村上春樹(スイッチパブリッシング)を読んだ。

村上春樹さんの小説は何冊か読んだことがあるぐらいで、そんなに詳しくはない。
でも村上春樹さんのニュースや知名度は知ってる。

ぼくはそんな人なんだけど、やっぱり「仕事術」や「仕事に対する哲学」とかは大好き。
だからこの本はすごく興味がわいた。

 

村上春樹にとってのオリジナリティがあると言えるのは「ビートルズ」

ぼくは村上春樹さんと思い浮かべたときに、きわめてオリジナリティが高い小説家だと思ってた。
だからどうやったら、そんなオリジナリティの境地にいけるのか、どんな風に日々を積み重ねばいいのか、すごいなー、すごいなーって考えるんだよね。

だから村上春樹さんにとってのオリジナリティとは何なのか?それがぼくがこの本で一番ヒットしたところ!

ビートルズはほかのどの音楽とも全然違った!


ビートルズが出てきたのは、僕が一五歳のときです。
初めてビートルズの曲をラジオで聴いたとき、たしか『プリーズ・プリーズ・ミー』だったと思いますが、身体がぞくっとしたことを覚えています。どうしてか?それがこれまでに耳にしたことのないサウンドであり、しかも実にかっこよかったからです。

どう素晴らしいか、その理由をうまく言葉で説明できないんだけど、とにかくとんでもなく素晴らしかった。その一年くらい同じことを感じました。「いや、これはすごいぞ!」「ほかのものとはぜんぜん違う!」と。

今にして思えば、要するに彼らは優れてオリジナルであったわけです。

—『職業としての小説家』村上春樹著

 

ぼくはまだその時生まれてなかったんだけど、ビートルズは当時すごかったんだろうね。
村上春樹さんは、オリジナリティがあるものとして以下の条件があると語ってる。

①他の表現者とは明らかに異なる、独自のスタイルがある
独自のスタイル(サウンドなり、文体なりフォルムなり色彩なり)がある。ちょっと見ればその人の表現だと瞬時に理解できなくてはいけない

②そのスタイルを、自らの力でヴァージョンアップできなくてはならない。
時間の経過とともにそのスタイルは成長していく。いつまでも同じ場所に留まっていることはできない、そういう自発的・内在的な自己革新力を持っている。

③独自のスタイルが、スタンダードになり、人々の価値判断の一部にならなくてはいけない。
その独自のスタイルは時間の経過とともにスタンダード化し、人々の再起に吸収され、価値判断の一部としてとくりまれていかなくてはらなない。あるいは、こうせの表現者の豊かな引用源とならなくてはらないない。

何かを自由に表現したいのであれば、「何を求めているか?」ではなく「求めていない自分とは何か?」を考えること

もしあなたが何かを表現したいと望んでいるなら、「自分が何を求めているか?」というよりは、「何かを求めてない自分とはそもそもどんなものか?」をビジュアライズしてみることいいと書いてあった。

「自分が何を求めているか?」という問題を正面からまっすぐ追求していくと、話は重くなってくる。
多くの場合、話が重たくなればなるほど自由さは遠のき、フットワークが鈍くなる。

それに比べると「何かを求めてない自分」というのは蝶のように軽く、ふわふわと自由なものだ。と。
手を開いて、その蝶を自由に飛ばせてやればいい。それが大事だって書いてあった。

はー、深いなー。
難しい

新鮮で、エネルギーに満ちて、そして間違いなくその人自身のものであること。

ビートルズはほかのどの音楽とも全然違った!


このあいだ「ニューヨーク・タイムズ」(2014/2/2)を読んでいたら、デビュー当時のビートルズについてこのように書かれてありました。

They produced a sound that was fresh,energetic and unmistakably their own.
(彼らの創り出すサウンドは新鮮で、エネルギーに満ちて、そして間違いなく彼ら自身のものだった)

とてもシンブルな表現だけど、これがオリジナリティーの定義としてはいちばんわかりやすいかもしれませんね。
「新鮮で、エネルギーに満ちて、そして間違いなくその人自身のものであること。」

—『職業としての小説家』村上春樹著

 

この本では村上春樹さんにとってオリジナリティとは、「新鮮で、エネルギーに満ちて、そして間違いなくその人自身のものであること。」だって締めくくられてる。

とても考えさせてくれるいい本だった。
飛行機の中で読みたい本だったね。

村上春樹さんの小説をそんなに読んだことがないぼくでも、村上春樹さんのすごさがわかるし、その考え方・哲学に触れることができる本だね。

おすすめです!

オリジナリティを追求していこう!

村上春樹さんがポーランドの詩人ズビニェフ・ヘルバルトの言葉を引用している。
「源泉にたどり着くには、流れに逆らって泳がなければならない。流れに乗って下っていくのはゴミだけだ。」

カッコいい言葉だった。

自分というモノをどんどんシンプルになっていき、社会の大きな流れに逆らい、自分自身により近くなっていくこと。
オリジナリティになるために、日々そういった考えを追求していくことって大事だなって思うね。

やっぱり一度っきりの人生、どんどんオリジナリティを追求していこう!



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