【前編】パシャデリックCEO山村健児×中村あきら対談「絶景写真を撮るには、「季節」と「時間帯」を知れ!」

パシャデリック山村
ユーザー数10万人。世界数十か国に展開する絶景写真共有サイト「パシャデリック(pashadelic)」。そのパシャデリックを作ったCEO山村健児さんに話をきいた。サンフランシスコのMBAに通い、そこで起業した山村さんはどのように海外で起業したのか。パシャデリックというサービスはどのようにして生まれたのかに迫ってみた。
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中村あきら(以下、あきら) 今日は、パシャデリック(pashadelic)のCEO山村健児(やまむら・けんじ)さんと対談します。よろしくお願いします。

山村健児(以下、けんじ) よろしくお願いします。

絶景写真は、撮影場所、時期、時間帯。この3つが重要!

パシャデリック(pashadelic)のキャプチャー画面絶景写真共有サイト「パシャデリック(pashadelic)

あきら 最初に、パシャデリックについて教えてもらえたらなと思うんですけど。

けんじ はい。パシャデリックは、風景写真と一緒に「どこでその写真を撮ったのか」という撮影場所を、みんなで共有するサービスです。風景写真を撮るのに1番重要な要素が撮影場所なんです。もちろんそこに行かなければ、そもそもそれが撮れないわけですから。そして、その次に重要なのが、その撮影時期と撮影する時間帯。大体この3つポイントをちゃんと押さえると素人の方でも素敵な写真が撮れます。それを実現するのがパシャデリックです。

あきら パシャデリックのサービス、ぼくもこの前フランスに行った時に使わせてもらいました。モンサンミシェルを写真に収めるとき、どこが1番ベストポジションかを探すのに使いました。

パシャデリック(pashadelic)のサービス

けんじ ありがとうございます。実際、パシャデリックは、綺麗な風景写真を撮りたい人、旅行者や観光者のためのサービスです。旅行会社のアンケート調査によると、パンフレットに掲載されている写真に惹かれて実際にその場所を訪れたのに、観光に来た4割の方が、そのパンフレットに載ってる写真の場所が分からず行けなかった、と回答しているんです。

あきら 確かに。ぼくにも経験があります。よく「絶景写真まとめ」といったものがネットで流れてくるじゃないですか。ああいう絶景写真を、自分で撮りたいって思いがあるんですけれど、実際に現地に行ってみたら、その場所はどこなんだとかというのが全然分からなくて。

パシャデリックの山村けんじさん

けんじ そうです。みんなそういう欲求があると思うんですね。しかも、さっきのアンケートによると、実際にその撮影スポットに行けた人の半分が、その場所に行ったのにパンフレットに載ってるような綺麗な絶景じゃなかったって言うんですね。でも、これって、その写真が撮られた季節と時間帯にいなかったからなんです。逆に言えば、撮影場所と季節と時間帯のポイントさえちゃんと押さえれば、綺麗な風景写真は、プロとまでは言わないまでも、ちゃんと撮れるってことなんですよ。

あきら 撮られた季節と時間帯が絶景写真を撮る上で大事なんですね。ちゃんとポイントさえ押さえれば素人でも綺麗な風景写真が撮れるのは嬉しいですね。

けんじ それが、風景写真の特徴なんです。風景写真は被写体が自然なので、他の人物写真やポートレートと違って、自分で光や被写体をコントロール出来るものではありません。だから、すごく敷居が低いんです。自然にちゃんと向き合いさえすれば、綺麗な写真を撮るのがすごい簡単なんですよ。超綺麗な夕焼けとかもある程度狙いに行けるんですね。ポートレートは、自分で創作して、色んな光を使ったり、配色やコントラストをコントロールをしようとするから大変です。

パシャデリック山村さん

あきら へえ。面白いですね。パシャデリックは世界中でサービスを展開してますが、実際にはどれくらいの比率なんですか?

けんじ 今はですね。日本の方が過半数です。大体50数パーセント。その次がアメリカで、30パーセントほど。そのあとに、フランス、イタリア、インドネシアが続きます。最近インドネシアが多くなってきてますね。インドネシア、韓国、中国、あとは、南アメリカが増えてきてます。

あきら やっぱ先進国でかつ観光地が多いところがやっぱ強いですね。

けんじ そうですね。特にユーザーとしては、そういったシェアされている情報の多いスポットでの撮影に利用することから始まって、他の所で写真撮るときに情報をシェアするというのが多いですね。

あきら ユーザー数とかは?

けんじ 今10万人を超えてます。ただ、ちょうど今、リニューアルの開発をしてまして、来年の夏前ぐらいには、新しいパシャデリックが登場します。そうすると、もっと便利になってユーザーも格段に伸びると思ってます。今はハイアマチュア向けの側面が強いですが、新サービスは、多分、プロの方からアマチュアまで使ってもらえるものになります。すごく便利なものになりますよ。

素晴らしいポストカードを見つけたがその場所が分からなかったのが、サービスの始まり

パシャデリック山村けんじ

あきら なるほど。パシャデリック自体はどうやって思いついたんですか?

けんじ 2010年にサンフランシスコにあるハルト・インターナショナル・ビジネススクールにMBA留学をしたんですね。わたしは元々旅行や食べるのが好きだったので、卒業したら昔からやってみたかったレストランかホテルの経営をしようと思ってました。けれど、旅行している間、どうしてもカメラで写真を撮るじゃないですか。そして、旅行好きが興じて、どんどんカメラに入り込んじゃったんですね。MBAの間も旅行をし、すごく綺麗な国立公園にたくさん行きました。そんな時に1枚の絵ハガキに出会ったんですね。それは、洞窟から太陽の光芒が差し込んでくる絵ハガキでした。そして、「これは自分も撮ってみたい」と思ったんですよ。それで、店員さんにそのポストカードを見せて「どこだ?」って聞いても、「分からない」と言われました(笑)。

あきら 近くに住んでても分かんないんですね(笑)。

けんじ 分かんなかったようですね。それで、とりあえずそのポストカードの写真を買って、近くで一眼レフを持ってる人たちに聞き込みをしたら、「あー、あれはあそこだ」って教えてくれたんです。

あきら へえ、すごい。

絶景写真が撮れるパシャデリック

けんじ はい。「やっぱり知ってる人は、知ってるものだ」と思いました。それで早速その場所に向かいました。それで、その写真の情景が、海岸沿いの大岩にある大きな穴から、夕日の太陽光線が綺麗に差し込んでくるというものだったんですね。だから、妻と一緒にずっと光が差し込むのを、夕日を見ながら待ってたんですよ。そして、気が付いたら太陽がもう沈んじゃったんですよ(笑)。「あれ、あの現象が起きなかった。太陽光線が出て来なかった」って思ったんですよ。それで家に帰って、ネットでいろいろ調べたら、実は季節が原因だと分かったんですね。

あきら なるほど。そこで時期の大切さが分かったんですね。

けんじ そうです。その時に初めて、太陽の日の出と日の入りの角度が、夏と冬で約90度以上違うって知りました。私が行ったのが6月だったんですよ。それでそのベストタイミングのシーズンは1月。だから約7カ月間待って、その写真を撮りに行ったんですよ。その間も必要な条件をいろいろ調べたりしてしました。そしたら1月に撮影したら思った通りに綺麗な写真が撮れたんですね。そして、ソーシャルメディアに上げたら友達とかが「うわ、すげえ」とか「お前プロか」みたいな、なんかそういうコメントを頂きました。その時、私は一眼レフを買って3カ月ぐらいのド素人だったんですね。なのに、みんなにすげえ褒められたんです。すると、やっぱり調子に乗っちゃうわけで。

パシャデリック山村写真撮影

あきら その気持ちわかります(笑)ぼくも綺麗な写真がとれたときは、もっとうまくなりたいって思いますね。

けんじ それからはどんどん、写真を撮り始めたんですよ。それが写真に入っていったきっかけであると同時に、綺麗な写真をつるための秘訣を知った体験だったんです。そして、この場所の綺麗な写真を撮りたいと思ったら、ネットで調べる習慣がついたんですが、それ専門のサービスが無かったんですね。例えば、トリップアドバイザーとかは、やっぱり旅行社専門なんで、私が求めているような情報もレビューなどで多少あるんですけれども、そこまでは詳しくはないんですよね。それで他の写真共有サイトとかを見ても、写真は共有されているけれども、どこで撮ったかっていうのは共有されてなかったんで、それも不便だっていうふうに思いました。そして、最終的に「じゃあこれは自分でやるしかないな」って思ったんですよ。それが2012年のことで、2013年のMBA卒業の前には開発をスタートさせていました。

パシャデリック山村さん

あきら 今のパシャデリックのビジネスモデルというか、広告収入源というのは広告収入なんですか?

けんじ そうですね。現在は正直あってないようなものです(笑)。今はスポンサー広告にですが、今度の新しい方に切り替わってくると、ユーザーさんから1番声があった、自分にお小遣い程度でもいいから経済的なメリットが欲しいというものがあったので、写真販売なんかもする予定です。あと、弊社としては、やはり有料会員制度を取っていくのと、撮影関係の機材の販売とかにも着手します。

あきら サービスの導入期が終わり、いよいよマネタイズや拡大に向かっていくんですね。

けんじ 取り合えずアフィリエイトから入っていくんですけども、数字が見えてきた時点でいろいろ、直接販売するのか、もしくはどこかと一緒に手を組んでなのかっていうのを、手探りしながら考えてます。

TEDで話すパシャデリック山村さんTEDxで話す山村さん

あきら パシャデリックのサービス自体は、今後どこに向かっていくんですか?

けんじ ゴールとしては、スマホ撮影でも、ここに行けばこんな絶景が撮れるっていうところまでは持っていきたいですね。

あきら スマホ撮影でもですか?楽しいですね。

けんじ はい。スマホで撮れるんですよ。今でも結構綺麗に撮れるんですよ。私も一眼レフで撮ってる時に、ついでにスマホでこう撮るんですけども。私の写真仲間の間では、「スマホのほうがなんか綺麗じゃねえ」っていうような話をしてます。多分センサーや中のチップの性能が良いからなんですけど。スマホのAIの方が私達の手操作より、柔軟にやってる部分があって、たまには条件によっては一眼では撮れない写真も撮れちゃったりするんですよ。だから、もっとスマホ撮影が一眼を凌駕出来るものにして、やっぱり一般の方でも気軽に綺麗な風景を撮れるようにしたいです。これは、日本人としてのわたし個人的なミッションでもあるんですが、このサービスで日本をちょっとでも盛り上げていきたいんです。ちょうど海外の観光客も増えているので、日本のいろんな各地、地方自治体ともコラボして、いろんな撮影場所紹介とか、なにかが出来たら嬉しいなと思います。

中村あきら×山村健児

あきら ぼくはこのパシャデリックというサービスはすごく魅力を感じましたね。そして起業アイディアのモデルとしてもいい。まさに自分の趣味のこだわっている部分を自分のサービスにしたって例だと思うんです。誰でも趣味は持ってて、自分だけのこだわりってあると思うんですよ。それを誰でも素人でもできるように共有した素晴らしいサービスだと思いますね。

中編へつづく

次回は、「海外のMBAに通い、チームを結成して起業する!」をお届けします。

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