【後編】銭湯シェアハウスオーナー高橋政臣×中村あきら対談「「先代のつながり」をいかに「自分のつながり」へと変えていくのか?」

日本の後継者問題・高橋政臣
横浜・鶴見にある銭湯シェアハウス「清水湯」オーナー高橋政臣。昔ながらの銭湯というビジネスと今の時代の象徴ともいえるシェアハウス事業・ネット物販事業をうまく組み合わせビジネスをしている。今日はそんなまーくんに、後継者として引き継いだとき「先代のつながり」をいかに「自分のつながり」へと変えていくのか?を聞いてみた。
【前編】「昔ながらのビジネスと今の時代のビジネスを掛け合わせるには?」はこちら
【中編】「後継者として引き継いだビジネスをいかに自分色に変えていくか?」はこちら

あきら あとは、コミュニティについて聴きたいんだけど、コミュ二ティ作りもまーくんの強みだと思うんだけど、どういうふうにそういうコミュニティを作るか意識していることはある?

住人は直接スカウトしてくる

清水湯・高橋政臣

政臣 うーん…、具体的な話にはなるんだけど、例えばシェアハウスをやり初めて当初は自分の近しいところでだけで人を集めたんだ。それはそれで楽だったんだけど、全然広がりを感じられなかったんだよね。仲が元々良くてお互いのことを詳しく知ってるから新しい発見とかもあんまりなかった。だからそういう親しい人ばかりのいるコミュティを外して、知り合いの知り合い程度の人たちにも募集をかけてみました。むしろスカウトに近い感じで自分が話して、「この人と暮らしたら面白そう」って感じたら、「直接一緒に住まないか」って訊くっていう(笑)。募集した人が住んでから、やっぱり違うとか、お互いの生活に何か軋轢があったらそこに住むのがお互いストレスになるじゃない。だけどスカウトするとスカウトした側の自分は相手をある程度受け入れるっていう心の準備が出来てるし、受け入れてでも住んで欲しいと思っているからストレスにならないんだよね。しかもその面白いと思った人たちの紹介でまた全く違う色・個性を持ってる人が来るからすごく楽しい。けど元々は自分が気に入った人たちで形成されてるコミュニティだから家の中でトラブルはすごく少ないっていうのもありがたいね。

あきら なるほど。だから前もまーくんが言ったように、シェアハウスに住んでいるメンバーに家自体が合わせていくスタイルになったんだね。そのスカウトって、事業を通して欲しい能力や人柄の人をヘッドハンティングする感覚とちょっと似てるね。新しい色を率先して入れるっていうのはすごく面白いよ。そのシェアハウスのコミュニティはまーくんが作った「内のコミュニティ」だと思うんだけど、もう一つ長年やってる銭湯に来るお客さんとのコミュニティもあるじゃない?つまりは「外のコミュニティ」。しかも銭湯って昔から地域のコミュニティの中心地なイメージなんだけど、そのコミュニティと自分をどう繋げていったか教えてもらえる?

自分がスカウトした住人と地域を巻き込んで面白いものを企画する

鶴見のお祭り地元・鶴見の大きなお祭り

政臣 銭湯に留まらずに、地元のコミュニティ自体に自分がどう関わっていくかはまだ模索中なんだよね。本当に周りは子供だった自分を知っている人ばかりだし、銭湯を継いだ時も暖かく迎え入れられたりしたんだよね。

あきら なるほどね。例えば企業の経営者の2代目や3代目も形は違えど同じような悩みを抱えてる人って多いんだよね。先代が築いたお客さんだったり部下だったりとどのようにうまくやっていくかって。

政臣 僕の例でいうとすごく思うのは街の人とよく話したり、お祭りとか地域の行事に自分なりのやり方で関わっていくのが大事だと思う。苦手なことをしようとしても自分もきつくなってくるし、コミュニティの中でもうまくいかなくなってくると思うんだ。うちの銭湯は比較的地域の人が日頃集まるところだから、自分のところが率先して関わっていけばもっと地域全体が面白くなるなとは感じてる。具体的にはシェアメイトたちとお祭りで出店を開いたり、神輿担ぐくらいしかやってないけど。何かもっと主体的にしたいよね。

銭湯でお花見会を主催銭湯でアーティストを呼びお花見会を主催

地域のお祭りにシェアメイトと参加地域のお祭りにシェアメイトと参加

銭湯でかき氷屋さんを販売・企画銭湯の前でかき氷屋さんを販売・企画

あきら ぼくから見たら、まーくんが主催する銭湯花見やかき氷販売なんかは十分地域を巻き込んだ新しいイベントだって感じるよ。大事なのはよく話すことと、既存のイベントや行事に自分なりの方法で関わること。そして、さらにもう一歩「外のコミュニティ」と繋がるには自分が築いた「内のコミュニティ」で何かを主体的に企画して「外のコミュニティ」を巻き込んでいくことってことかな?

政臣 そうだね。

あきら 長年地域の集いの場になっている銭湯のオーナーだからこそできる地域との新しいつながり方か…。ポテンシャルはすごく感じるね。そこまでいくと、銭湯シェアハウスを中心にしたコミュニティづくりを超えて、自分の住んでいる地域の「街づくり」というもう一つ大きな枠を超えた活動になりそうだね。これからも楽しく見守らせてもらうね。今日はありがとう。

清水湯・高橋政臣対談

中村あきら×高橋政臣対談 終わり
(撮影・構成 湯ノ口直樹)

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事業をうまく引き継いで、自分らしいビジネスを楽しく自己実現しよう!

ぼくは家が自営業だったり、家が経営者の人に良く出会う。
その人達は、自分が家業をつぐかどうかを悩んでいることが本当に多い。

でも思い切って継いでみてもいいんじゃないかってぼくは思う。
ちゃんと継いで、そしてその資源や資産を使って、自分らしいビジネスを楽しく自己実現してほしい。

もう継ぐって決めたら、先代も覚悟するしかない。
しっかり腹くくったら、あとはもう、わがままにめちゃくちゃにやっちゃえばいいんだよ(笑)

長年続く伝統や想いに重圧を感じる必要はないよ。
あなたがあなたらしい人生やビジネスをするのに、その資産を利用しちゃえばいい。

楽しく生きよう!
代々受け継がれた資産は、あなたの人生をもっとより豊かにしてくれるはずだ。



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