incentive stock options(インセンティブストックオプション)とは

株式を一定の価格で買える権利で企業の役員や従業員の報酬の一部や賞与として与えられるものがインセンティブストックオプションである。

米国では株式や社債を販売するために魅力付のアイテムとしてストックオプションという制度があり、有能な経営者を招き入れて破産企業の再生を行う為にも利用されていた。

1950年に行われた米国の税制改正によって取締役や社員に税務上の恩恵があるとして一気に拡大した。

インセンティブストックオプションの仕組み

インセンティブストックオプションは株式を一定の価格で買うことができ、企業の株式が値上がりした時に権利を行使し多額の報酬を得ることができる仕組みである。

米国では、役員、幹部社員の報酬として利用されることが多い制度であるが、現金報酬を得るのと違い権利が行使されるまでは手取りが発生しない。

少しでも多くの報酬を得るためには自分の会社の価値がより高くなっていなくてはならず、そのためには企業の評価が上がらなければならない。

企業の評価を上げ、株価を高めるためには業績を上げ企業をより大きくすることが必要なので役員や幹部社員のモチベーションも上がり、報酬を株式のパフォーマンスとしてリンクする事になるので株主と経営者の意識を同じ方向に向けてゆくことができる。

経営の中での有効性

日本では2001年に行われた商法改正までは、自己株式取得の原則禁止等の制約があったため報酬制度として導入はあまり見られなかった。

商法改正を受けて株主の視点は経営の方向性に重要な影響を与えるため、インセンティブストックオプションの導入が行われることもある。

雇用が流動化する傾向はシリコンバレーのハイテク企業をはじめとして米国ではよく見かけるが、日本においてもこのような現象が顕著となってきた。

こういった状況を背景に報酬体系に柔軟性を持たせるためにインセンティブストックオプションを制度として導入する企業が増加傾向にある。

インセンティブストックオプションのメリット

インセンティブストックオプション

会社の株価が上昇して価値が高くなったときにストックオプションが付与された社員は一定数の株式を優遇された価額で取得し売却することができる。

つまり、現在の株価が1000円での時点で企業が取締役や社員に対して今後4年の間にいつでも1000円で1000株まで当社の株を買っても良いという約束がなされる。

1株あたりの株価が2000円に上がった時に権利を行使することで1000円で買うことができるため、即時に売却すれば1株あたり1000円の利益が生まれ1000株を取得することによって100万円の収入を得る事ができるという仕組みになっている。

購入した株式は資産として保有することもできるが、業績が悪く株価が下がっていれば権利を行使する必要はないので損はしないのである。

株式を取得した社員は株式市場での株価との差額を利益として得ることになる。そのため、社員は株価が上がるほど利益が大きくなる。

結果として株価を上げるために社員は一生懸命働くことで会社や株主のために利益を生み出すのである。

インセンティブストックオプション制度は株式公開(IPO)を目指すベンチャー企業や、既に上場している企業で用いられる手法で、基本的には株式を自由に売ることを前提としている。

また、アップル社では創業者スティーブ・ジョブズ氏の死後、優秀な幹部社員を流出させないために15万株の制限付き株を認証し人事戦略の一環として使われている事例もある。

スターバックスコーヒー社で1991年から『ビーンズストック』と称して導入されているストックオプション制度では勤続期間や労働時間等の一定条件を満たしていればパート従業員もオプションの付与対象者となっており、「企業の発展、成功に貢献した人が、その成功を共有するのが当社のカルチャーだ。」と従業員のモチベーションを喚起している。

インセンティブストックオプションは、出資にかかわる投資家や株主の目的と経営目標の達成という目標の利害関係を有効に調整するとともに、役員や社員のモチベーションを向上させ、企業の活動に一体感と成長をもたらすものとして活用されている。



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